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「自家製天然酵母(自然発酵種)」いろいろ

それぞれの酵母の起こし方は下の方にあります。(下線文字をクリックするとジャンプします)
果実
ぶどう    りんご 夏みかんの花
夏みかん(柑橘系)  クローバー  
コクワ カリン    
プラム(すもも) びわ    
いちじく(フィグ) バナナ    
グミ

レモンバーム ミント 玄米 甘酒
タイム
ローズマリー バジル 麹+ご飯  
松葉

乳製品
小麦粉
(サワー種)
ライ麦粉
(ライサワー種)
ビール 牛乳 ヨーグルト

ネットで発見!ちょっと珍しい酵母 (市販品)
ねりま大根(パン) 蜂蜜(ビール) たんぽぽ(日本酒)
 

酵母は空気中のホコリにくっついて浮遊しています。外で生育している植物など、ホコリを被る物 には酵母が付着しているということになりますので(くっつき易さの差はあるでしょうが)、 毒でない植物で農薬のついてない物なら酵母を採取できる可能性があります。
天日干しの干し芋や干し椎茸とか・・?!あっ。パンの味と合うことも条件に入れなくちゃね。


酵母の起こし方とパンの作り方。基本的にほとんど皆同じです。

果実から起こす自然発酵種のパン

※生でもドライでもOK。無農薬、低農薬のものが良いが、こだわらなくてもOK。ドライフルーツはオイルコーティングされていないものを使う。

  1. 綺麗に洗ったガラス瓶に、果実、水、ハチミツや砂糖(果実に糖分が少ない場合のエサの補給。ブドウやドライフルーツは甘いので蜂蜜も砂糖も入れない。他の生の果物は入れた方が良い。ハチミツは水の2割以下)を入れる。
  2. 2日〜7日置く
  3. 果実から泡が出てサイダーの様になったら完成。
    泡がそれほど増えないまま、泡立ちが収まってきたら固形部分を取り除いて瓶を換え、同量の水+20%のハチミツか果物、果汁を加えて再度発酵させる。
     ・酵母の元気が良く、すぐパンを作る→4.ストレート法へ
     ・酵母をもっと元気付けてよく膨らむパンを作る→5.中だね法へ
  4. 水の一部を酵母エキスにしてパンを焼く(ストレート法。酵母が元気な時に可能。膨らみは劣るが素材の香りが楽しめる)。エキスは冷蔵庫で1〜2週間保存可。それ以上になる場合はエサやりが必要。
  5. 酵母エキスに粉を1:1で混ぜて清潔なスプーン等でよく混ぜ、瓶に入れ、室温で数時間〜10数時間置き、全体がボコボコ泡立つか2倍〜3倍に膨らんだら、それをパン種として、粉をパン種の二倍強、水(※)を適量、塩、砂糖などを加えてパンを焼く(中種法。膨らみはストレート法より優り、素材の香りも楽しめる)。パン種は冷蔵庫で2日保存可能。それ以上保存の場合はエサやりが必要。
  6. 上記で作ったパン種にさらに粉(と水)を加えて(粉のみを加える場合はパン種:粉=3:2 パン生地と同じ硬さにする)同様に室温に置いて2〜3倍に膨らむのを待ち、冷蔵庫で一晩休ませたらそれをパン種としてパンを焼く(2回培養中種法。エキスの果物風味が薄れて小麦粉の風味が生かされる。一次発酵が上記より早くなる。)

※水の量はパン種の粉と水が1:1であることから計算する。

(例)生ブドウから酵母エキスを起こして、中だねを作るまで (材料:デラウェア少し、白砂糖大さじ半分、水)
おつとめ品のデラウェアから起こした酵母エキス。夏なので1日半でエキスが完成。


(例2)失敗例。二種類のエキスから同時に二つの中種を作ろうとしたが、片方はエキスが熟成されていなかった。
(両方ともエキス50cc+粉50gを混ぜて室温で並べて置いたもの)

左側の中種は2時間でほぼ2倍に、5時間で3倍になったが、右側の中種は途中から膨らまなくなり、最後は水っぽくなっていた。この中種にハチミツを加えて混ぜたがもう膨らまなかったが、元エキスの方にハチミツと水を加えたらよく泡が出てきて復活した。
 

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から起こす自然発酵種のパン

※桜の花から分離した酵母、「やまぐち桜酵母」が山口県産業技術センター、宇部高等工業専門学校、酒井酒造(株)の共同研究により商品化されている
東京農大花酵母研究会(H15設立)により開発された日本酒用の花酵母は以下。(なでしこ、日々草、ベゴニア、つるばら、アベリア、カトレア、シャクナゲ
  1. 綺麗に洗ったガラス瓶に、軽く洗った花をたくさん、花が浸る程度の水、ハチミツを入れる。水はハチミツの5倍が目安。
  2. 以降、果実から起こす方法と同じ。

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から起こす自然発酵種のパン

  1. 綺麗に洗ったガラス瓶に、軽く洗った葉をたくさん、葉が浸る程度の水、ハチミツを入れる。水はハチミツの5倍が目安。
  2. 以降、果実から起こす方法と同じ。
レモンバーム
+ハチミツ大さじ1強(20g)
+水80g
室温10〜20℃で6日後 こんなパンが焼けました。ふわふわで美味しいよ!

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※池袋コミュニティカレッジの「自家製酵母のパン作り」2004年度前期で苺酵母(クリームパン)、タイム酵母(イングリッシュマフィン)、パイナップル酵母(ワッフル)。
※ACTエスニック料理教室2004年度楽しく作る酵母パンで苺、ローズマリー、タイム、バナナ、酒粕、ヨーグルト


玄米から起こす自然発酵種のパン

  1. 玄米を平らな容器に広げて水に浸す。水は毎日取り替えて、発芽するのを待つ。
  2. 2〜3mmの芽が出たら、ミキサーで砕く。またはすり鉢ですり下ろす。
  3. 綺麗に洗ったガラス瓶に、すり下ろした玄米、玄米と同量程度のハチミツ、ハチミツの5倍の水を入れる。蓋は密閉せず、空気中の酵母を取り込む。蓋をしないでホコリよけにガーゼなどを被せて輪ゴムでとめてもよい。毎日瓶をゆする。
  4. 数日経つと、泡が出始める。サイダーの様になったら玄米酵母エキス完成。冷蔵庫に保存する。
  5. エキスとハチミツと水を1:1:5の割合で混ぜて瓶に入れて密封して室温に再び置く。
  6. サイダーの様になったら、後は果実の4〜6と同じ手順でパンを焼く。


右は玄米の沈殿物から泡が出る瞬間。海底火山みたい♪

※酵母の培養基がハチミツとお米なので、果実酒に比べて、くせのない味のパンが焼けます。
※玄米酵母、甘酒酵母、サワー種の様に、空気中の酵母を取り込むタイプの種おこしの場合、風通しの良い爽やかな環境の方が成功率が高い様です。自宅ではなかなか酵母が起きなかったのですが、実家で夏に残りご飯に水を入れた容器を台所に放置していたら(スズメのエサにするつもりで)、二日で泡が出てきて、甘酒の様な香りがしてきました。一軒家で庭があり、窓をあけている環境が良い様です。

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甘酒から起こす自然発酵種のパン

  1. 綺麗に洗ったガラス瓶に、甘酒、甘酒と同量水を入れる。蓋は密閉せず、空気中の酵母を取り込む。蓋をしないでホコリよけにガーゼなどを被せて輪ゴムでとめてもよい。毎日瓶をゆする。
  2. 数日経つと、泡が出始める。サイダーの様になったらエキス完成。冷蔵庫に保存する。
  3. 後は果実の4〜6と同じ手順でパンを焼く。ストレート法は多分難しい。

※ちなみに、甘酒酵母は私は失敗しました。買った甘酒の質に問題があるかもしれません。

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小麦粉から起こすサワー種(Sour Dough)のパン

世界的にメジャーな自然発酵種で、作り方は本当にたくさんありますので一例。
STEP1
【1日目】 清潔な瓶に小麦粉250g、砂糖10g、水125gを入れてよくかき混ぜ、 蓋を軽くずらして載せるか穴をあけたラップやアルミホイルの蓋を軽く載せて室温(冬は暖かい所)に置く。20℃ぐらいがいいらしい。
【2日目】水分が分離している。かき混ぜる。気温が20℃でも瓶の中はもっと暖かくなっている。
【3日目】泡が出始める。腐った様な異臭がする。めげずにかき混ぜて待つ。

全体に泡が出て、変な臭いが消えたら種おこし完了。次のステップへ。
STEP2
一回り大きい瓶に種を移し、小麦粉、砂糖一さじ、水を加える。分量は適当でいいらしい。
室温で4〜5時間で全体が泡立つ。
STEP3(パン作り)
(1)サワー種200g、小麦粉600g、水450〜600g(種の水分に応じて調整)をよく混ぜる。
(2)かなり水分量が多い生地ができるので、様子を見ながら粉を20g〜300g加えて、ちょうど良い堅さの生地に仕上げる。
(3)室温で二倍に膨れるまで置く。例)20℃で6時間。
(4)成形をして型に入れ、濡れ布巾をかぶせて2倍に膨れるまで室温に置く。例)20時間
(5)表面にクープを入れ、180℃〜200℃で25分焼く。

ビールから起こす自然発酵種のパン

ビールは非加熱、無濾過、無添加で、酵母が生きているものを使用する。(地ビールとして売ってるものにそのような記述があったのでこれから試してみたい。)

  1. 清潔なボウルにビール、同量の小麦粉(全粒粉+ライ麦粉)、砂糖を入れてラップをして室温(冬は暖かい所)に置く。
  2. 泡だったら冷蔵庫(夏以外は室温)に入れて一晩置く。
  3. 翌日、できた元種の半量の全粒粉+半量の強力粉+粉の8割量の水を加えてよく混ぜ、ラップをして室温に置く。(スタート時の量にもよるが、元種の大半を捨て、一部を残して培養するレシピもある)
  4. 同量の粉と水を加えて混ぜて室温(冬は暖かい所)に置き、泡立ったら冷蔵庫(夏以外は室温)で一晩置く。
  5. 翌日も同じことをする。
  6. こうしてできたパン種に約2倍の粉、適量の水、砂糖、塩を加えてパンを作る。

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ネットで発見!ちょっと珍しい酵母

練馬大根酵母 練馬区に本社を持つパン会社では、地域の特産品・練馬大根の酵母を使った「ねりまだいこん酵母パン」を販売している。(中略)酵母は同区内の漬け物店の協力により、ぬか漬けした練馬大根の表皮から採取した。 関東農政局・東京統計情報センターHPの「現地情報」2004年3月「練馬大根の酵母を使ったパンを販売」より
蜂蜜酵母 パンを作成したという情報はないが、蜂蜜酵母によるビールが販売されている。
博石館地ビール「天然蜂蜜酵母自然麦酒」
タンポポ酵母 パンを作成したという情報はないが、日本酒に利用。 「諏訪泉 大吟醸 花のしずく 銀の蔵」
花酵母 上にも記述しているが、東京農大花酵母研究会(H15設立)により開発された日本酒用の花酵母。
なでしこ、日々草、ベゴニア、つるばら、アベリア、カトレア、シャクナゲ、マリーゴールド、月下美人、カーネーションなど

酵母いろいろ

清酒酵母 自家製酵母を語る時、レーズン酵母とかりんご酵母とか呼んでいますが、これは俗称であって、本当の酵母の名前ではありません。じゃぁ、本当の酵母の名前は何なのかというと、それこそDNA検査でもしないとわからない。同じ種類の果物から起こしても、人それぞれ違うかもしれません。一般にパン作りの酵母は「サッカロミセス・セレビシエ」と言われていますが、果物から起こした酵母は違うんじゃないかと思います。ブドウから起こした酵母は、ワイン作りに使う酵母の仲間じゃないかな?
たくさんある酵母のうち、日本酒に使われる酵母の一部は日本醸造協会で管理されています。日本酒の酵母も「サッカロミセス・セレビシエ」の仲間なので、パン作りに向いていると思われます。詳しい話は「理科室」のページを参照。

参考までに、日本醸造協会で配布している酵母一覧のURLを記載します。協会が管理して配布している酵母の名前(号数)と特徴が一覧表になっています。
http://www.jozo.or.jp/i.kouboda.htm
性質によって、泡あり酵母、泡なし酵母、少酸性酵母、高エステル生成酵母、赤色清酒酵母などがあります。良い性質の酵母を見つけたらそれを分離・培養して管理しているらしいです。(生物学と醸造学とは別の世界ということで。。。)