斧づくり 1

鉄と火と技と
 火床(ほくぼ)からとりだされ、鎚(つち)でたたかれたまっ赤な鉄は、みるみるうちに 形を変えていきます。その様子はかたい粘土(ねんど)をこねて、なにか形をつくっているようにも みえます。けれども、それは手ではさわれないほどの熱い鉄のかたまりです。
ですから鉄の火ばしでそれをはさみ、鎚(つち)でたたいて形をつくっていきます。
 火床の中で熱された鉄のかたまりは、焼けてまっ赤な色をしていましたが(@)、 やがて黄色い色に変わりました。火床からとりだされ、しだいに冷えていくと、 その色はまた赤くなりそれから紫に、そして私たちがふつう見なれている黒っぽい色の鉄へと変わりました。 鉄は冷えている時は黒い色をしていますが、温度によってその色を変えます。
 その色を見て、鍛冶屋(かじや)さんは仕事をすすめていきます。 ですから鉄の色は鉄からの合図です。

 この斧づくりの話は今年(2002年)4月に未来社から発行された、
鉄と火と技と  −土佐打刃物のいま− 香月 節子 著 を 未来社 さまのご了解を得て、
その一部を紹介させて頂いているものです。鍛冶屋の仕事が判りやすく説明されています。
画像や説明には『むらの鍛冶屋』の独断と偏見で改変していることをお許しください。
又、この本を私に送ってくださった、香月先生と高知県土佐刃物連合協同組合の門田様に感謝します。

火床(ほくぼ):一般的には『ほど』と呼んでいますが種々の呼び名を持っています。

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