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   夢通信    衣川製鎖工業株式会社

ダービー 2  (7 月号)


 若いダービー2世は「ねえ、トーマス。石炭を燃料にして、溶鉱炉の作業が 出来ないものだろうか?」燃料の木炭不足に悩む彼は、古くから勤めている、年老いたトーマスに 語りかけました。
  このころ(1735年)イギリスでは製鉄業が発展し大量の木炭を必要としたため、森林は見る 見る伐採され、森林破壊が大きな社会問題になりました。製鉄業だけではなく、煉瓦の焼成にも、 造船にも大量の木材を必要としました。木炭不足の結果、製鉄・鉄鋼業にもかげりが出て来たのです。 1680年に3万トンの製鉄量が1735年には約半分に減少してしまったのです。
 若くして父の事業を継いだ、24才の二代目アブラハムは苦悩していました。お父さんは鋳物工場を 経営し、1708年には、従来粘土だった鋳型を改良し、砂を固めて使った『なま型法』を発明し、 壺や鍋・アイロンや窓枠を作り、好評を得てダービーの鋳物工場は大繁盛だったのです。しかし、 父の死後、経営はうまくいっていませんでした。
 「石炭を燃料に使うことは、亡くなった先代のダービーさんもお考えでした。亡くなられた年には ほとんど出来上がっていたのです。」トーマスが応えました。この言葉に力づけられ種々の工夫をこらし、 炭焼きの方法に似た窯をつくり、ダービー2世は苦労の末にコークスを作り出したのです。
製鉄業は、イギリスの森林を滅ぼし、イギリスを不幸にする。
参考資料
技術の歴史『スチブンソン』井野川 潔 著 けやき書房
『技術の文化史』黒岩 俊郎 編 アグネ
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