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   夢通信    衣川製鎖工業株式会社

『たたら製鉄見学記  1』  (2月号)


 ゴー、コー、ゴー、コーまるで呼吸をするように、炎が高く低くゆれ動きま す。黒装束の村下が大きな木製のショベルを持って小鉄町に向かいます、黒々 とした砂鉄の山を3回、シュッ、シュッ、シュッとさばいてからすくい取り、 静々と炉に進み、燃え盛る炎の上に並べるように丁寧に置きます。手前に2回 向こうに2回、計4回繰り返します。炭坂も同じ動きをします。炎の叫びの他 は音を失った世界です。炭子が大きな竹で出来た箕で炭を入れます。パチパチ パチ、炭の音。
 約30分毎に砂鉄と炭の投入が繰替えされます。村下は炎の色を見ます、炎 とは言わず『ほせを見る』と言います。村下はその事により炉内の状況を判断 し、良い玉鋼が出来るよう心配りをしてゆきます。三昼夜を一区切りとする一 代の間、村下は一睡もしないほどの緊張した時間を過ごします。白銀の外界と は隔離された黒い大きな部屋の中で、古代の製鉄法『たたら』が古式にのっと り進行してゆきます。
 島根県仁多郡横田町(通称奥出雲)にある『日刀保たたら』では日本刀の素 材としての玉鋼を一年に4〜5回、厳寒の時期に古代の製鉄法で、昭和52年 11月より、再現しています。
 初めて見る機会を得ようと、1月30日姫路より新幹線・伯備線と乗り継ぎ 安来の和鋼博物館に着きました。翌朝、友の会の一員としてマイクロバスに乗 り込みました。雪の峠を越え、銀世界の横田町に着いたのは10時30分、前 記のたたら製鉄の現場を見せて頂きました。お世話頂いた、博物館の学芸員の 方々と日刀保たたらの皆さまに感謝致します。


昭和52年の『たたら製鉄』の復元に従事されました、故 阿部由蔵村下をイメージした操業風景の
イラストが「タイムトラベル横田」にありましたので、転載させて頂きました。
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