『ウーツ鋼』 と 『ダマスカスの剣』
ウーツ鋼
インドは昔から長い間、大規模な製鉄業が盛んなところで、優秀な製鉄技術が栄えていました。
それらの鉄は2千年前から、中近東、エジプト、ヨーロッパに輸出さ、ヨーロッパでは『ウーツ鋼』
と呼んでいましたが、ウーツは鋼を意味する言葉です。
鉄鉱石からルッペという鉄片を作り、生木と共にルツボに入れて精錬する製鉄法でした。
当時、ヨーロッパでは錬鉄といわれる、不純物を含んだで鉄を鍛造、精製する方法だったので、
高品質の『ウーツ鋼』は東洋の神秘として人々を魅了しました。
ダマスカスの剣
インド産の『ウーツ鋼』はペルシャの商人によって、中央インド、アフガニスタンや各国に輸出され
ました。シリアのダマスカスに輸出された『ウーツ鋼』はその地方の刀鍛冶によって刀剣に鍛えられ、
『ダマスカスの刀』と呼ばれ、珍重されました。特に十字軍の時代には王家の宝として伝えられ、
騎士たちはその刀を持つことを誇りとしました。
この刀は弾性が強く、折れず、曲がらず鞭のようにしなりました。流水のような模様のついた刀でした。
現在のナイフブームでは、この模様を再生する種々の工夫がなされたものが、ナイフ用の素材として
販売されています。ちなみに、1Kg当り3万円くらいです。
(参考図書 ナイフマガジン 65 1997/8)
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