西の丸 B

 ここは「西の丸」と呼ばれます。本丸の西の方角にあたるところから名がついたのでしょう。 左手一帯には隅櫓(すみやぐら)、渡り櫓(わたりやぐら)、長局(ながつぼね)、多聞(たもん)と 呼ばれる建物が延々と300mにわたって連なっており、俗に「百聞廊下」といわれます。連続した建物の 内部は小さな部屋に仕切られ土塀と倉庫を兼ねており、城郭建築としては珍しい構えです。

(故 成井 次郎 画)

 本多忠政がここ「鷺山」(さぎやま)の丘を利用して築いたもので、前の庭には、忠刻(ただとき)と 千姫夫妻のための住い、伏見城から移した書院造りの立派な建物、「中書丸」(ちゅうしょまる)が ありました。「百聞廊下」の部屋は40余りもあって、「長局」といいます。そこには多くの局(つぼね)や 腰元たちが住んでいたといわれ、内部の板戸や腰板には花や鳥などが美しく描かれていました。また、 窓や壁などは白粧(おしろい)や歯を染めるカネで汚れていたところもありました。

「犬走り」

 戦になれば武器などの倉庫と武者(むしゃ)走りとなるこの渡櫓も、平時は女の園ですから、もちろん 男子禁制です。長局(ながつぼね)の外側、石垣の上にある「犬走り」(いぬばしり)というこの道は、 御用聞きの男子が窓越しにご用を聞くためのものです。


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