トロンプ

 一風かわった送風装置、それがトロンプです。フランスとスペインの国境付近のピレネー山脈 の南麓の地域に発達した製鉄法--カタラン製鉄--はヨーロッパ各地およびインドやアメリカにも 波及しました。
 木炭と鉄鉱石を使ったこの方法の特徴は噴射水流を利用した強い衝撃風を送ることです。 その装置がトロンプ。
 明治初期、(明治17年)官営広島鉄山に、中国地方のたたら製鉄の蘇生を願って、導入されましたが、 一部で試用されたに留まりました。

参考資料  続 鉄の文化史  新日本製鐵   発行    1988年       鉄の文化     窪田蔵郎   小峰書房  1995年


こんなメールを頂きました。(2007年11月1日 清水敬子さまより ) 

埼玉県で金属造形の仕事をしています。
2年ほど前から、北スペインの田舎にのこる小さな鍛冶屋の村に通っています。
その地域には水力を使い18世紀に栄えた製鉄所がいまも残り、ミュージアムとして稼動しています。
そこでは、図(トロンプ)にあったシステムと同じ送風装置をつかって(トロンバと呼ばれています)、炉に空気を送っています。
鍛造ようの大槌も水力で動きます。水をつかって自由自在に鉄を操ります!
その鍛冶場の迫力ある動きとリズミカルな音に魅せられて、昨年はそのミュージアムで1mほどの鉄の鍛造オブジェ(マンモス) を、その装置を使って4日かけて制作させてもらいました。鍛冶屋ライブのような日々でした。

水の豊富なその地域には、この製鉄所のほかにナイフ工房が20軒ほどあり、こちらでは革フイゴを使用しています。
のんびりとしたフイゴの奏でるリズムが気に入って、現在大きな革フイゴを製作中です。現在は革を止める釘を作っています。
1月にケルトの小さな鍛冶屋村と題した個展をひらくので、出品を予定しています。

10月30日に発売になったナイフマガジン12月号に2ページ、村での私のナイフ修行についての記事が掲載されています。
もし機会がございましたら、ご覧下さい。ダイジェストですが、そこに小さくトロンバと大槌の写真があります。

(写真はナイフマガジン 2007年12月号 より転載させていただきました。)

水車ハンマーをクリックすると、清水敬子さまより頂いた、作業の様子が見えます。(1.7MB .wmv)

    

写真 左から   トロンプ   水車ハンマー   鍛造する清水さんと師匠

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