ここでは今から少し昔、みなさんのひいおじいさんの代くらいの時代のひとつの方法で、大まかに説明しています。 「焼き入れ」で鉄の刃物に適したかたいものになりましたが、ただかたいだけではもろくて割れやすく、 斧として使えません。「焼きもどし」は適当なねばりをもたせるための作業です。鉄に熱を加えてはまた冷まします。 その冷まし方もゆっくりだったり早くだつたり。そんなふうにして鉄の中の性質を変えていきます。この作業が終ると、 あとは刃先を研(と)いでするどくし、刃物として仕上げ(しあ)げます。 これが昔から鍛治屋さんの仕事場で伝えられてきた刃物のつくり方です。鉄のかたまりから刃物の形をつくる、 そしてそれを刃物に適した鉄にし、刃をとぐ。鍛冶屋さんの仕事は大きく分けるとこのようになります。 みんながなにげなく目にとめる刃物は、そのひとつひとつにこのような、いく代もの経験から生みだされた知恵と技とがつまっています。 鉄と火と技と −土佐打刃物のいま− 香月 節子 高知県土佐刃物連合協同組合 未来社 2002年 |
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