「焼きなまし」をした斧を少し削って形をととのえ、赤土をぬってまた火床で熱します。 鍛治屋さんは熱している斧の色を、この時は特にていねいに見ています。ちょうど柿の実の熟(じゅく)した色に なった時、すばやく斧を火床のそばの小さな水槽(すいそう)の中にドボンといれました。 赤く焼けた斧は、水の中で冷やされジューツと音を立てて色が変わっていきます。こうすると鉄は 刃物にもっとも適した性質に変わります。これを「焼き入れ」といいます(I)。 「焼き入れ」は刃物を水槽の中にいれた時に、早くそしてどの部分も同じように冷えるようにしなければいけません。 そして冷えてしまった斧をもう一度熱し、その色の変化を見つめていた鍛冶屋さんはふたたび、水の中につけました。 「焼き入れ」のあとにもう一度熱するこの作業を「焼きもどし」といいます。 |
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