その構造は羊一頭分を丸剥ぎにし、これを毛の付いたまま鞣(なめし)し、袋縫いして 簡単に羽口(はぐち)を取り付けただけのものである。羊の皮は背中を中心に縦に二つ折りに して尻の部分を切り、腹の部分で大きさを決めて、首と足の部分を除いて求める漏斗状(ろーと) の形に整え、腹の部分を縫い合わせている。取手となる木片を取り付ける近くは左右とも20センチ くらいが縫ってない。首の部分には直径4〜5センチくらいの厚いトタン製で、先を狭まらせた 羽口を取り付け(操業時はさらにここに粘土製の羽口が付く)、尻に近い部分には太さ50センチ くらいのポプラの杖を55センチくらいの長さに切り、二つ割りしたものを革紐で4〜5カ所ずつ 各々の皮に縛りつける。これだけで他には弁も何もない。これでバタパタと取手を頻繁に動かす ことによって、空気は袋の中に波状に送り込まれ、余り強くはないであろうが羽口から炉の中へと 噴山されることになる。 シルクロード鉄物語より 窪田蔵郎 雄山閣 1995年 (文章の一部改変 図は衣川が着色しました。) |
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