こぼれ話 9   ステンレス名の由来


 初めてステンレスの名称を用いたのは、イギリスのブレアリー(H.Brearley)、1915年のことです。 軍の委託により焼付きの少ないライフル銃の研究に取り組んでいたときです。偶然にも廃材置き場の 錆びていない試験片を発見しました。それは 0.24 C、 13 Cr の合金でした。それを刃物メーカーの 協力を得て食卓用のナイフに試作し、ステンレス鋼
""Stainless Steel""の愛称を付け特許を取りました。
 それに先立つ1872年イギリスでステンレス鋼の第1号の特許が認められました。それはフランス人の 鉱山技師ベルチェ(P.Berthier)によって出願されたものですが、残念ながら加工の困難さもあり実用化されませんでした。
 日本では、ステンレス鋼の名称について海軍では不銹鋼(ふしゅうこう)と呼んでいました。 ただし、銹の字は、元字の金へんに粛でした。陸軍では当初、不錆鋼(ふせいこう)と呼んでいましたが、 たまたま研究員の病死などで研究が中断しました。以降、大成功の縁起をかついで耐錆鋼(たいせいこう) と名前をかえました。1936年には、『金属鉱物標準用語』の中で『不銹鋼』という名称に統一されました。
 JIS記号のSUSは、鋼(Steel)+用途(Use)+ステンレス(Stainless)、の頭文字です。

参考図書 ステンレス鋼の選び方・使い方  日本規格協会
     住友金属工業60年小史
     ステンレス鋼技術史   日本金属工業株式会社

はじめてのステンレス鋼の特許


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