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   夢通信    衣川製鎖工業株式会社

赤い櫛(2 月号)

 ベンガラはいつ頃から使われ始めたのでしょうか?福井県に縄文時代のタイムカプセルと
呼ばれている、鳥浜貝塚があります。若狭湾の三方五湖に注ぐハス川と高瀬川の合流点近く
で、この遺跡は縄文時代の草創期、約1万2千年前から5千5百年前まで栄えたもので、
低湿地の地下3m〜7mの深い地層に遺物が含まれています。ここからは土器や石器以外に、
古代の大きな丸木舟や瓢箪(栽培種)の種、ベンガラ漆で塗られた赤い櫛が出土しています。
この櫛は女性の結んだ髪に飾りとしてつけられたものですが、どんな美女がこの櫛を着けた
のか興味深々です。この遺跡からは奇妙な遺物、糞石が3千点も出土しています、その分析
から当時の食生活や栄養状態が推測出来るようです。
 赤漆は生漆(きうるし)を精製しベンガラを加えます。こんな技術が縄文時代にすでに
発達していました。又、同じく縄文時代の矢瀬遺跡からは、ヒスイの勾玉(まがたま)など
と共にベンガラを入れた香炉型のミニチュアの土器が出土しました。
 ちなみに、ベンガラという言葉は『ベンガル丹土(につち)』と言われ、インドのベンガル
から送られた丹色(にいろ)の土という意味の言葉でしたが、いつのころからか?ベンガラと
呼ばれるようになりました。

鳥浜貝塚から出土した、赤漆の櫛
糞石をイラストした中京女子大学の考古学のページ

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