『 ギャラリー 鍵と錠 』  (カトウコレクション)


 2005年4月、ギャラリーを見せて欲しいのですが?突然の電話にも関わらず『良いですよ。』 気さくな返事が返ってきました。東京の不案内な私。道順も教えて頂き、翌朝、約束の時間9: 30に少し遅れて到着しました。

 中目黒の駅から歩いて200m位か?白髪の店主が鍵を収集されている加藤順一さんです。
あいさつもそこそこに、阿波錠・土佐錠・安芸錠・因幡錠、江戸時代の錠産地の歴史とその特 徴を、現品を示しながらお教え頂きました。『これを開けてください。』渡された錠は阿波錠 で鍵2ケです。しかし、鍵穴はありません。錠の表にある飾り金具に仕掛けがあり、押えて動 かす方向により鍵穴が現れます。鍵は2段階で、私には到底開けられませんでした。これが阿 波の『からくり錠』でした。
 丁寧にご説明頂き、感謝しています。今後のご指導をお願いして退出しました。一部を執筆 された世界の鍵と錠には和錠にとりつかれた経緯が以下のように記されていました。



 私は現役の鍵屋である。40年前、独学で錠前の勉強をして鍵屋の仕事を始めたが、若気の 至りで、「なんでも開けます」式のキャッチフレーズを使って、得意がっていたものである。
そんなあるとき、東京の旧家から土蔵の鍵開けを依頼された。これが初めての本格的な和錠(日 本製の古い形式の錠前)との遭遇であった。勇躍して出掛けたものの、持参した華奢な解錠道具 では、なんとも歯がたたない。内部の構造すら想像もつかなかった。
やむを得ず、かんぬきを 切断して扉を開けたが、悔しくてしかたがない。その帰り道、骨董屋を何軒か廻って小さな和 錠を買い求めた。その錠前を解錠して、毎日接している様式の錠前の構造や作動原理とは全く 異なる発想に驚くと共に、私の無知・無鉄砲ぶりに赤面せざるを得なかった。錠が開かなかっ たことは当然だったのである。信じられない程、単純な構造ながら、立派に錠前の機能を発揮 しているのに感服した。


これが契機となって和錠を集め始めた。その頃はまだ骨董市などは無く、各地の骨董屋を丹 念に廻って、大きさや形の異なる錠前を探し求め、勉強を続けていった。
そして何時しか、気 がついた時には和錠の魅力の世界にどっぷりと漬かり、身動きのできない状態となっていたの である。

 和錠の魅力とは何かと人によく聞かれる。「あばたもえくぼ」の例えの通り、他人には共感 して貰えないかもしれないが、それは日本の錠前鍛冶の、仕事に対するこだわりの結晶である と思う。(以下略)

カトウロックサービス ギャラリー
http://www.h2.dion.ne.jp/~katolock/garelly.html

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