お年玉をもらった!!   江戸時代のカギ

 時代劇を見ていると、泥棒が土蔵から千両箱を運ぶシーンに出くわすことがあります。 どんなカギを使っているのだろう。鍛冶屋の興味はそんなところに集中します。 先日、歴史の好きな(古文書)友人がカギをぶら下げて『こんなのが手に入った、好きやろ。あげるわ。』 近所の土蔵で使われていたそうです。昭和50年ころに土蔵を解体したときに取り外しました。

 錆び付いて動かなくなったカギにさび取りを施し分解しました。丁寧に拭き、動き出しました。 たたら製鉄で作られた古い鉄です。構造は簡単ですが、手作りの工夫が見られます。 カギの固定部分が錆び付かないように、すりあわせ部分の内壁には薄い銅板がはりつけてあります。 表面は防錆のため、黒い漆を塗ってあり、まだ一部は漆の皮膜が確認出来ます。江戸時代末期のものではないかと思われます。

 下の写真は岡山県にある『閑谷学校』の勉強部屋として使われていた土蔵のカギです。 カギの差し込み口に卍の加工が施されています。昔のカギは大量生産ではなく、 鍛冶屋が一品一品丹精込めて作りました。そのため、合い鍵を作るのは難しかったにちがいありません。

 

戻る 進む