富津の砂鉄

 鎌倉の稲村ヶ崎で見た砂鉄は、これまでに見て来た出雲や千種(兵庫県)のものとは異なり、 全体が黒っぽいものでした。産地により色々な砂鉄が有ることを知り、集めてみたくなりました。  そんな時、東京在住の中村宗次郎氏より富津(千葉県)の砂鉄が送られて来ました。
昭和36年に採取されたものです。非常に目が細かく、ルーペで見ると白い貝殻の破片が入っています。
やはり目視だけでも異なっています。成分も差があるのでしょう。送られてきた瓶に以下の手紙がついていました。

 先日お話した砂鉄の件、分析するには少したりないかと思いますが、私共のほうでは予定がありませんので、 どうぞご自由にしてください。お手許に送る分は昔、千葉の富津で磁石で採取したものです、 あの大きな岬はほとんど砂鉄です。近くの鋸山のお寺には昔々、大和武尊(やまとたける)が金谷に渡った時、 船の船首(みよし)に大きな鏡を取り付けてびっくりさせたとかで、その鏡だという鉄板が二つに割れて 今も残っているそうで、本当にこの国はどこでも砂鉄だらけ、八戸ではバケット船で砂鉄を採っていました。 砂鉄は海の中で幾万年でもサビず、腐らず、溶かせば鉄になるのですから大変なものです。
鹿島神宮の剱など千余年も昔、エアーハンマもないのによくまあ!こんなでかいものを作ったと仰天です。 昔の人は偉い。

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