日本刀から贈られた人生の言葉

"ものづくり共和国"のMLで,ヒンギスというHandle Nameの女性から投稿された,刀にまつわる言葉を取材してくれたものがありました.出展を明記すると共に,ヒンギスさんの了解も得て,ここに紹介します.
出典は 週刊朝日百科『日本の国宝』100 です。



鎬(しのぎ)を削る
刀の表面と裏面にある稜線の事を鎬という.戦いに際して刀を合わせ,互いに相手の刀を受けたり,すり合わせて鎬が削れるほど激しく戦うことを指した.

鍔迫り合い(つばぜりあい)
これもほぼ同じ.互いに、相手の刀を鍔元で受け止めて,競り合う緊迫した状況.

目貫通り(めぬきどおり)
目貫は刀の柄(つか)の中央に据えてある金具のことで,刀装(刀の鞘と柄=こしらえ)の中心として最も目立っている.
反り(そり)が合わない
刀は反りが1本1本違う.同一作者の刀でもそうで,違う鞘(さや)に入れると反りが合わないから入らない.喧嘩をした夫婦が和解する事も「もとの鞘に納まる」と言う.
折り紙付き
折紙付は保証付という意味.折紙は書画,器物,刀や刀装金具などの鑑定書で,奉書紙を上下二つ折りにして上方に作者,寸法,評価額,鑑定者の名前などを記したもの.
切羽詰まる(せっぱ)
切羽はつばの上下にはめて刀身をしっかり押さえ,動かないようにするための金具.「しっかりと動かない」から身動きならない,動きがとれない,窮地に陥るなどの意味.
抜き差しならぬ
これもほぼ同じ.元々は刀が錆びついて鞘から抜けないこと.
抜き打ち
これは,すばやく刀を抜いて相手を倒すことで,相手の隙をつくという意味.
つけ焼き刃
日本刀には,刃文(焼刃)がある.切れ味を増すためと,美の追求から考案されたもの.刃文は刀が焼けたり,研ぎ減ってしまうとなくなってしまう.このような刃文のない刀に刃文の形を描いて,まやかしの刃文を作る.これを,つけ焼き刃という.
地金が出る
日本刀の中の軟らかい鉄(地鉄)を入れ,外側を硬い鋼(はがね)で包んでいる.研ぎ減って,中の醜い地鉄が出てしまうこと,転じて,本当のみにくい姿が出てしまう事をいう.
焼を入れる
日本刀制作工程の最後に焼を入れることをいい,「鍛える(きたえる)」も同じような 意味。「焼が鈍った」「焼が回った」も焼き刃からきたもの.
なまくら,なまくらもの
刀に焼がきちっと入らない半焼けの鈍刀のことを指した.

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