隕鉄
星空の綺麗なある夜、東の空から大きな流れ星が一つ、川のほとりに落ちて来ました。
次の日、若者は早速それを探しに出掛け、焼け焦げた河岸の草原の真ん中に真っ黒な重い石を
見つけました。若者はこれをピカピカに磨いて自分の宝物にしました。
鉄の最初の発見は、案外こんなものだったのでしょう。古代エジプトでは鉄の事を
『天の金属』として絵文字で表しています。この鉄は隕鉄といって、小惑星の中心部の
ニッケルを沢山含んだ鉄です。
地球に飛来する隕石の中で、鉄分を含んだものを隕鉄と言います。5年間に10個程度、
10トン位ですが、地球誕生以来の数十億年を考えると古代人が使うのには充分な量だったの
でしょう。小惑星の核である、この隕鉄はニッケルを沢山含み、組織的にも非常に特異な
ものです。この組織は小惑星の冷却速度が非常に遅い為に出来るものでウィッドマンステッテン
組織と言い地球上では製造出来ないものです。
古代人はこれを使って色々な物を作りました。首飾り(エジプト)、鉄剣(トルコ・中国)
各種の道具(エスキモー)人々にとって、本当に大切な金属だったのでしょう。
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(参考図書 鉄の歴史と化学 田口 勇 裳華房)
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