門の話              武田 健

 姫路城には沢山の門があったし、今も多数残っている。
 何故か5と11という数字が多い。先ずは内堀の中に55門あるが、その内、堀沿いにあるのが 桜門・喜斉門(きさいもん)・北勢隠門(きたせがくしもん)・南勢隠門・南門の5門がある。 江戸時代、儒教が盛んであったので、之を五倫にたとえている。すなわち、父子・君臣・夫婦・長幼・ 朋友の間の道徳で、それぞれ親・義・別・序・信を言う。

 中堀の中に24門あり、堀沿いには11門あって、中門・G門(くまたかもん)・埋門(うずめもん)・ 車門・市之橋門・清水門・野里門・久長門・内京口門・鳥居先門・惣社門である。十一と書いて(士)サムライ、 十一の口と書いて吉の字になる。縁起をかついだのか?  外堀の中には7門あり、堀沿いに5門あって、備前口門(福中門)・飾磨門・北条門・外京口門・ 竹之門と言う。これらを五常といって人の行い守るべき五つの道とし、孔子・孟子などがそれぞれ強調した、 仁・義・礼・智・信である。

 なお、菱の門から天主まで11門がある。菱・い・ろ・は・に・ほ・水一・水二・水三・ 水四・水五である。水六門は西小天主とするので、数えないようである。何かこじつけのようであるが、 市民の余り知らない話の一つであろう。


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