<ファロスの灯台 ( Pharos )>

 1996年11月4日、毎日新聞は、英サンデー・タイムズの記事として、その一面にファロス灯 台の遺構発見を報じていました。それは港外の海底から見つかりました。
 この灯台は、紀元前3世紀、プトレマイオスU世の時代に建てられた120mもの巨大 灯台でした。エジプト、アレキサンドリア港の湾口、ファロス島に立ち最上層では大理石 の反射板の前で火が燃やされ、航路の目印として、夜間は数10Km先からでも見えたと言 われています。灯台の高さは、一説には60m、又、180mとも、文献ごとにまちまち です。その構造や燃料の種類、管理の方法など、不明な点ばかりで、古代世界の七不思議 の一つに数えられています。

 地中海では、すでに紀元前20世紀頃より、エーゲ海文明が栄え大型船による海上交通 、交易が行われていました。そのため、常設の灯台が建てられていたことが、多数の記録 に残っています。
 この巨大な灯台は9世紀、アラビア人の手によって壊されるまで、1000年以上もの 長きにわたり、重要な航路標識として活躍しました。以後、イスラム教えのモスクになり ましたが、14世紀の大地震で完全に崩壊し、海中に没したのです。今回の発見により、 古代の不思議が解明されるのは愉快な事で、大いに期待するところです。
 ちなみに、絶世の美女『クレオパトラ』もこの灯台を毎日眺めていたのでしょう。彼女 が活躍した時代は灯台が建設されてから200年ほど後のアレキサンドリアです。又、彼 女の住んだ、王宮跡と見られる遺跡も発見されました。



  この巨大な灯台、「ファロス」は灯台の代名詞なりました。
  灯台を英語で pharos
  フランス語で phare
  ドイツ語で   Pharus
  イタリア語で faro
  と言いますが、これらはみなファロス( Pharos )に語源があります。

 参考文献『日本の灯台』

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