ふいご職人

 今でも、刀鍛冶や一部の鍛冶屋さんが『吹差ふいご』を使っています。
江戸時代(天明4)1784年に著された『鉄山必用記事』には『吹差ふいご』(箱ふいご)のことを以下のように記しています。
 大坂天満の吹子屋助右衛門という者は数代に亘って鞴を作っており、その製品は京都、江戸の外諸国に広く普及している。
鞴の元祖は、ことによると、この助右衛門家かもしれない。(中略)

 鞴は大坂屋助右衛門が作ったものが、風が強くて使いやすい。
昔は厚さ1寸の板を用い、板の四方(の周辺)が薄くなるように削り、 中央部が高くなるように作ってあったからである。
永く使用しても風が弱まらず、力も落ちなかったが、 これでも始めからそうであったというわけでもなく、また力が強かったのでもなかった。
ありきたりの板厚であったが、内へ張り出して、動作中にしまるということがあるので、一概に指しにくいことはなかった。
今でも助右衛門を訪ねて、直接に注文して作って貰ったものは、出来合いのものとは違って、板も少しは厚いのである。


参考図書

鉄山必用記事 現代語訳  充  丸善(株) 平成13年6月

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