たたら製鉄 (日刀保たたら)

 日本で完成した「たたら製鉄」

 たたら製鉄は、粘土でつくった箱の形をした低い炉に、原料の砂鉄と還元のための木炭を入れて、風を送り、鉄を取り出す日本古来からの鉄を作る技術です。 6世紀後半(古墳時代後期)に朝鮮半島から伝えられ、江戸時代中期に技術的に完成しました。

 昼夜にわたる鉄づくり(現在行われている日刀保たたらでは)砂鉄を集めて、炭を作り、炉を作ってから操業が始まります。 炉の下から風を送りながら、木炭と砂鉄をかわるがわる入れます。時間がたつとともに、砂鉄は還元され鉄になります。 さらに炭素を吸収してズクが炉の下の穴から流れ出ます。そして最後にケラができます。1回の操業は、3昼夜、約70時間にもおよび、 炉の壁が侵食されて薄くなり、耐えられなくなったところで終了します。炉の壁の成分と砂鉄が反応して生まれたフロ(スラグ)」は、 鉄の不純物を取り除き、再酸化を防ぐ役割をします。

「たたら製鉄」から生まれる鉄

そのようにして炉の底にできた鉄の塊は、砕いてノロや木炭を取り除いた後、品質や大きさで数種類の等級の「ズク(銑)」や「ケラ(ヒ)」などに分けられます。 硬くて脆いズクは、「大鍛冶場」でさらに不純物を絞り出し、炭素量を調整して、生活に必要な道具の材料となりました。 ケラの中でも不純物の少ない良質な鋼「玉鋼」は日本刀の材料となります。少量ですが簡単な構造で、優れた鉄を作ることができるrたたら」は、 今日でも鉄づくりについて貴重なメッセージを送ってくれています。

画像をクリックすると、たたら製鉄の全プロセスが現れます。

鉄の未来の『新・モノ語り』  新日本製鐵(株) 2004年 より

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