『タマ』 ハウサ族の伝統的製鉄法

 東西南北に向けて切られた十字の上、粘土にラクダの糞を混ぜて作った炉、高さ1.5〜2m、 口径1m。こんな炉に羊の皮で作ったフイゴを4丁差し込んで送風します。 鉄鉱石は褐鉄鉱(鉄質泥岩)、薪は鍛冶屋の木と呼ばれた、プロソフィス アフリカ。 今はもう刈り取られてほとんど無くなっています。
 再現実験をされたタンコ氏を含む、家族の男性5人の協同作業です。この製鉄法はエジプトから 5〜6世紀に伝えられ、1960年頃まで実施されていた方法とのことです。今回の実験は小型炉で 行われましたが、通常は上記のような寸法の炉を使い、乾季の10月から5月までの8ケ月間に 操業しました。採鉱、粘土収集、炉づくり、製鉄作業、製錬作業、準備から完成まで3ケ月を要しました。
 お祈りではじまり、お祈りで終わるこの製鉄法は神と共に生活するハウサ族の神聖な儀式なのです。

粘土の炉づくり 炉の完成

『タマ』とはアフリカ、ニジェール南部で産出する特別な鉄鉱石からつくりだす鉄のことである。 この民俗誌映画では、ハウサ族の鍛冶屋タンコ氏が再現した、タマの伝統的な製法を紹介する。 また、彼を中心にして、砂漠の町アガデスに住む人々の生活も紹介する。 (大森康弘)
撮影時期 1981年 11月  撮影場所 ニジェール共和国 アガデス
製作・著作  国立民族学博物館

 いつも鉄のお話をお送り頂きありがとうございます。鉄器時代などと一口に言いますが当時は どうやって鉄を作っていたのか疑問に思っておりました。最近ある機会から現在に残る最も古い 製鉄法のビデオを入手致しました。
 小生の所で保管するより衣川さんの所の方がふさわしいと思いお送り致します。このビデオの中で 二つの言葉が気になりました。一つはビデオの題名となっている「タマ」と言う言葉であまりにも 日本語的なのでなにか製鉄に関わる日本語にも残っていないかと言うことです。もう一つは この製鉄の時の炉を「バンコ」と呼んでいることです。「かわりばんこ」はフイゴで風を送るときに 休み無く風を送るために人が代わる代わるにその役目を果たすことから来ていると思っています。
そのバンコがこれと関係するのか大変面白く感じました。
  医学博士  大塚 忠弘  赤穂市在住 眼科医

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