俺の名前は滝川 元。 巷じゃBlack Carlosって名前で通ってる。 えっ?なぜCarlosなんだって?それはな、ある映画にCarlosって男が出てくるんだが、こいつが出てきてすぐに死んじゃうんだ。 その死にっぷりに惚れたのさ。 それだけだ、つまりは巷の名前なんてどうでもよかったのさ。
まぁ、知らない人が多いだろうから一応自己紹介らしきことをしておこう。 俺は今、大学生ってことになっている。 まぁ、大学には数回しか顔を出していないが、大学生には違いない。 この方が働き口が見つかりやすいもんで大学生といってるだけかもしれない。 一日中朝から煙草すいながら酒飲んで麻雀うってる。 金が無くなればまた、仕事を探す。 こんな毎日の繰り返しだ。 これでいいのか?なんて考えることもそりゃぁあるさ、でもな、そんなことは酒飲んで忘れるようにしている。
俺は酒飲みだ。 いやなことがあれば酒を飲む。 いいことがある日は酒を飲む。 何にも無い日は二日酔いなので酒を飲む。 別に酒に逃げてるわけじゃない、いいことも悪いこともつまみにして酒を飲んでるだけだ。 なぜ酒を飲むのかって? 自販機で売ってるからだ。 薬が自販機で売ってりゃ薬をやってただろうし、隣の家で女を売ってりゃ女をやってただろうし・・。 尾崎豊が歌ってたよな、「百円玉で買える温もり・・」って、あれと同じだ。 500円玉で買える酔いってわけだ。 俺のまわりにゃ俺みたいなやつはいないが、全国でみれば俺みたいなやつはいくらでもいるだろう。 そう信じて今宵もおれは飲みつづけるのだ。
最近の俺の悩みは、前のように酔っ払えないことだ。飲めないやつは酒に強いやつを羨むが、飲んだくれにとって、酔えないことは悲劇以外のなにものでもない。 そこでいろいろ飲む時に工夫するわけだ。 ビールとウィスキーを混ぜてがぶ飲みしてみたり、ウィスキーにタバスコを混ぜてみたりと(これがまたいけるんだ) 最近の科学の発達は素晴らしい。 いずれ、少量で酔っ払えて、二日酔いのない酒が発明されるかもしれない。 そう信じて今宵も俺は飲み続ける。
つまみ・・世につまみと名のつくものは数多けれど、呑んだくれの望むつまみとなれるものは少ない。 そう、「安上がり」で、「手軽」であり、「もたれないもの」だ。 つまみが高くつくなら、その金で酒を買うだろう。 呑んだくれは酒が好きなんじゃない、酔っ払いたいだけだ。 だから高級なつまみなんかお呼びでないのだ。 また、「手軽」でなくちゃつまみでない。俺はつまみを食いたいんじゃないんだからそんな暇があれば黙って酒を呑むだろう。だからフライパンに油を引いて・・・なんてことはしない。酔いが醒めちまうだろうが。 最近の俺のつまみはチキンナゲットだ。 冷凍で業務用に売ってるやつ。 これをアルミホイルの上に乗っけてオーブントースターで焼く。 それに塩胡椒と黒胡椒を山ほどかけていただく。 これなら皿も油もいらない、好きな時に好きなだけ食うことができる。 これなら出来上がるまで呑みながら待つことができる。 一石二鳥とはこのことだな。 それすら面倒なときは、黒胡椒をつまみにする。 塩をつまみに・・てはなしはよく聞くが、黒胡椒と塩のほうが断然美味い。 呑んだくれがここを見たら一度実行してみてくれ。 まじでうまいから・・・
中国の漢詩なんだが「この杯をうけてくれ、どうぞなみなみつがしておくれ、花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ」って詩があった。井伏鱒二が訳したものだ。 俺は文学なんかくそ食らえと思ってるがこの詩だけはずっと心にのこってる。 訳す前は「勧君金屈巵 満酌不須辞 花発多風雨 人生足別離 」だ。 この詩を詠んだやつは天才だろう、しかも酒飲みだったに違いない。それもよっぽどの酒飲みだろう。 けっして酒を嗜んでるやつの詩ではない。この詩には酒飲みのすべてがあらわされてる。 この杯を受けてくれ <俺の酒をのんでくれ> どうぞなみなみつがしておくれ <飲むなら気持ちよくのんでくれ、そんなちょっとずつ飲んでないで気持ちよく酔っ払えよ> 花に嵐の喩えもあるさ <明日はこないかもしれない、今日がいい日でも明日にはすべてが悪くなるかもしれない、明日の見えない人生なんだからせめて今だけでも酔っ払って気持ちよくなろうじゃないか> さよならだけが人生さ <こんな俺からは友達はどんどん離れていく、だが人生そんなもんだろ。いちいちきにしてちゃ気持ちよくよっぱらえねぇぜ、気にせずいまは酔っ払おう!ってなかんじだ。
だからおれは今を酔っ払うために今夜も呑みつづけるのだ。
俺は呑んだくれだ。 べつに酒を止められないわけではない、酒を止めれば落ちこぼれに変わるだけだろう。 落ちこぼれと呑んだ暮れ、おれは呑んだ暮れのほうが好きだしな。
今、なんとか卒業に向けて研究をしている。 いや、していることになっている。 そんな俺にいままでの成果を発表しろとの指令が下った。 無理を言うなよな。 研究するかわりに呑んでるよ、おれは。 講座にウィスキーの瓶置いてるぐらいだぞ。 ってなわけで開き直ることにした。 研究内容嘘八百並べ立てる事にした。どうせこの世は虚無の世界。まじめなやつほど馬鹿をみる。 どうせ俺は呑んだ暮れ。 真面目にやるのも限度がある。そして、俺は手付かずの原稿を前にして今宵も呑んだ暮れる。 こういう時の酒ほど美味いものはないさ・・・・。 (おいおい、発表まであと10時間だぞ、いつからこんな奴になっちゃったんだ?俺は・・・)
・・・・・・・交通量調査の24時間バイトに行って財布落としたさ。
俺はばかだ・・・バイトに行って金がなくなるなんて・・・もう、飲む金もねぇ・・・・久しぶりに大学の研究室に忍びこんでエチルをやるか。 久しぶりだぜ、こんなに辛い酒の肴は・・・。研究発表?ご想像にまかせるさ。 ここで書く気分じゃないもんでな。 すまねぇな・・・・・・・・。
・・・・研究発表終わってしばらくしてから財布が見つかった。バイトの連れの車の中に落としてたようだ。 その金で酒を買ってきた。 旨かった。 こんなに旨い酒はひさしぶりだ。 ろくでなしの呑んだくれな俺だだが、幸せはやってくるんだと悟った。 とにもかくにも・・・今日もまた、俺は呑みつづけるのであった。
・・・・・連れのDOS/Vを組む事になった。が、CDがどうしても認識しねぇ。 ちゃんとautoexe.batを作ったのにどうして? 友人がきて一言、「autoexec.batじゃ?それ・・」 かくして12時間「c」一つで悩みつづけたDOS/Vはあっさり組みあがった。 所詮人生もこんなもんだろう。 たった一つの「c」じゃなくて無くてはならない「c」なんだろうなぁ。 なんのことやら。
最近俺の出番があまりない。Carlosがでしゃばってるからだ。まぁ、Carlosもあまりいい性格とは言えないが、Blackな俺もたまには顔を出したいものだ。まぁ俺とCarlosは表裏一体なので、あまりCarlosに気を許すと俺が出てきて毒吐き掛けるかもな。うひゃひゃひゃひゃ。
だんだん忙しくなっているというのに相変わらず酒の量は減っていない。まぁ、余裕のある証拠だな。この前実家に一年ぶりほどに帰ったのだが(2日だけだが・・)近所の人に就職おめでとうって言われてしまった。思わず俺が毒はき掛けそうになったが何とか堪えた。俺も大人になったもんだ。代わりにここで毒はいておこう。 俺もまだまだガキだな・・・。
「なにがおめでとうだ、俺は今の生活が気に入ってるんだちくしょう、全然おめでたくねぇんだよ!そもそもお前だれだ? 俺のしらねぇ奴が(←忘れてる)気軽にこえかけるんじゃねぇよ?」
・・・・・・やっぱり俺酔ってるな・・・いい傾向だ。これでこそ俺だ。酔っ払いのくだまきだ。安心したぜ。
話は変わるが俺の電話は時間を設定してない。留守電が入っても「1月1日午前0時0分です・・・ピ〜」だ。だからいつはいったのかまったくわからない。最近留守電がよく入るようになった。しかもほとんど無言だ・・・。さらに言えば俺はおきてる時でも電話に出ない。留守電を入れるところを聞いてから電話に出るのだが、いつも無言だ。なぜ出ないかは想像にまかせよう。ひどい時は1日8件ほど無言留守電がある。留守電とわかってすぐ切るのならわかるのだが10秒ほど無言なのはなぜだ?俺の下宿は鍵かけてないので親しい友人が用があるのなら勝手に入って酒呑んでるし、親しくない知り合いから電話があるほど社交的でもない(汗)誰が何のために俺のところへ電話してくるのかわからんがなんか笑えるのでほっといている。謎は謎のままのほうが面白いに決まっている、真実は大抵つまらなく、馬鹿らしく、冷ややかで、そして笑えないものばかりだからだ。(冷や汗)
長い間在籍したこの大学も卒業することになった。多分卒業できると思う。ま、できなきゃ止めるけどさ。もう、あと2週間もすれば会社に出社することになる。そして、この世の中で一番なりたくなかったサラリーマンという職業に就くことになる。もう、一晩中酒を飲んで馬鹿やって朝に寝るという生活もできなくなり、極普通に働き、極普通に媚びへつらい、極普通に生きていくことだろう。 願うことならこの生活を苦痛に感じないほど普通の神経を持ちたいのだが。願うことなら誰にも邪魔されずに酒を飲んでいたいものだ。そして、願うことならばそれを実行できる勇気を持ちたい。
このろくでなしの今までの人生で人から後ろ指を差されるようなことも、どんな友人にも言えないようなことも、色々やってきたが今までの人生を後悔したことはない。そして、願わくばこれからも後悔しない人生を送りたい。そして、今の倍俺が生きた時も俺が俺でありますように。今までの生活に乾杯。