『鉄から読む日本の歴史』

 ゴールデン ウィークの間に一冊の本を読みました。それは平成15年3月10日発刊の『鉄から読む日本の歴史』です。 著者は窪田蔵郎(くぼた くらお)講談社学術文庫の本で、昭和41年に発刊された『鉄の生活史』を文庫化したものです。 背表紙には『鉄を制する者が天下を制する。日本の歴史を切り開いてきたものは大陸伝来の製鉄技術だった。 大和朝廷権力の背景にある鉄器。生産力を飛躍的に発展させた鉄製農具。鋳造鍛錬技術の精華、美術工芸品と日本刀。 天下の覇者を決した鉄砲。近代国家建設の象徴、官営製鉄所の創業。考古学・民俗学・技術史を駆使し、 【鉄】と日本の二千年を活写する。』と記されいました。

 図や写真を用いて解かり易く解説され又、内容は伝承や伝説、たたら製鉄の技術など多岐にわたっています。 私は大陸からきた鉄器文化や南蛮鉄の流入などに興味を覚えました。(目次と著者あとがきは次のページに) 又、序文は三木文雄氏が以下のように綴っておられます。

 ひろくかつ深くわれわれの現代生活をささえている鉄が、日常意識されることは少ない。はやくから中国では 「あしきかね」として、農具に用いられ、武器に役だてられてはいたが、銅のごとくに宗廟祭祀の器をつくり、 金、銀のように重宝視されたものではない。その鉄は、じつに人類文明のバロメーターである。遠い古代に発見され、 永遠の未来に人類の文明をおしすすめていく原動力である。だが、その鉄についての一般の関心はきわめてとぼしい。
 本書の著者窪田君は、日本鉄鋼連盟という所をえて、鉄についての生きた知識を身につけることに めぐまれていることはいうにおよばない。そのうえ、鉄の歴史を求めるに広く世界各地の鉄の発見と、 その製鉄の技法とをあとづけることにつとめること、すでに久しい。かかる広い視野に立ち、 かつ長い研究にとどこおりを知らぬ君が、とくにえらんで、わが国の鉄の歴史を一書にまとめられた ことはまことにたのもしい。(以下略)   三木文雄


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