鉄の表記


 鉄(Iron)の綴りのルーツについては少し自信がありますので述べてみましょう。
 まず、鉄は英語ではiron、ドイツ語ではEisenも同系統の言葉でゲルマン系のもの とされています。古代英語のisern、アイルランド語のiarann、ウエールズ語のhaearnも 同じ系統になりましょう。
 鉄はエジプトやメソポタミアで紀元前2000年には発見されています。当然、名前は あったでしょうがそこまではわかりません。一方元素記号になったFeは鉄を意味する ラテン語のferrumに由来します。ですからラテン語系のフランス語のfer、イタリア語の ferro、スペイン語のferrumも同じです。
 古くは、鉄は隕鉄(隕石の中で鉄分を多く含むもの)に限られていたでしょう。 大変高価なものと想像されます。砂鉄も使われたことがあったかも知れませんが鉄の 大量生産、使用には鉱石の採取が欠かせなかったでしょう。
 それでは鉄は隕石以外から鉱石として採取される様になったのかについては少し 面白いエピソードがあります。この際ご紹介しておきましょう。
 ジョセフ・ニーダムと言うイギリスの中国研究家の著書にある話なのですが、 中国では陶器が古くから作られていました。そこで陶器に掛ける軸薬には木の葉などの 灰が使われていたのです。同じ種類の木の葉でも取れる場所が違うと陶器の発色が 違うことに気が付いていたのです。面白いことに赤い色の出る木の葉の灰の取れる ところの山にはなぜか鉄の鉱石が取れたのです。さらに緑の色に発色する灰の木は 銅の鉱石が取れたのだそうです。
凄い技術です。発色による差は現代のガスクロマトグラフィーに匹敵するのではありませんか。

赤穂インターネット研究会所属   博学の オメメ先生 より


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