肺高血圧症とは。。。
肺高血圧症とは、心臓から肺に血液を送る血管(肺動脈)が狭くなり、血液が通りにくくなるために肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなる病気です。
心臓の中でも肺動脈に血液を送る室を「右心室」と言いますが、この右心室は高い圧力に耐えられるようにできていないため、肺動脈圧の高い状態が続くと機能が低下してしまいます(右心不全)。
肺高血圧症の症状。。。
肺高血圧症には軽い動作で息切れがしたり、胃の疲労感、目まい・立ちくらみ、呼吸困難や顔・足のむくみなどがありますが、特有の症状はありません。
そのため、肺高血圧症にかかっていても病院に行かない人が少なくなく、肺高血圧症と診断されたときには病気が進行していることも多くあります。
肺高血圧のメカニズム。。。
肺動脈圧が高くなるのには、強い血管収縮作用を持つ「エンドセリン」という物質が大きく関わってきます。
このエンドセリンは、細胞を肥大させたり、増殖、繊維化、炎症を起こしたりする働きがあります。
このエンドセリンが「ETA」や「ETB」と言った受容体(レセプター)と結合することによって先述の強力な血管収縮作用を起こし、肺動脈圧を上昇させます。
健康な人にもエンドセリンによる血管収縮作用は起きているのですが、その血管収縮作用が適切なレベルを維持しています。
肺高血圧症の患者さんはバランスがとれず、肺動脈圧が上昇していくのです。
ということは、このエンドセリンと受容体を結合させなければ、血管収縮作用を抑えることができるということになります。
肺高血圧症の治療法は。。。
20年程前までは、決定的な治療薬がなく、長い間治療をしてもあまり効果はなく、患者さんは息苦しさや疲労感などに悩まされて生活せざるを得ませんでした。
しかし、最近になり新しい薬が開発され治療効果があがるようになってきました。
その中の一つに上述のエンドセリンの働きを抑える「エンドセリン受容体拮抗薬」というものがあります。
この薬はエンドセリンが受容体と結合してしまう前に受容体と結合し、エンドセリンに血管収縮の働きをさせない薬です。
エンドセリンが働きをしないので、結果的に肺動脈圧の上昇を抑えることができます。
最後に。。。
肺高血圧症は、患者数こそ少ない病気ですが、老若男女問わず発症する可能性のある病気です。
さらに、発症し重症になってしまうと完治する治療は臓器移植する以外ない難病です。
そのため、上述の通り特有の症状が出ず、見落としてしまいがちですが、少しでも体がおかしいなと感じたら病院へ行き、適切な治療を受けましょう。
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