Web Trader、悲鳴! (01/16/1999)

          インターネット関連株は、オンライン・ブローカーよりもずっと回復力がありました。

          個人投資家(Small investor)は水曜日、ワイルドな前場、ネット株にトッリガーを引きました。一流のインターネット・アナリストの警告やブラジルの経済危機や通貨切り下げがマーケットを下押しさせることに対してトリッガーを引いたのです。 彼らの本能は正しかった−少なくとも1時間かそこらは。

           しかし、多くのインターネット株が値を回復する中で、オンライン・トレーディング自体は問題が残ったままでした。 多くの投資家は、オンライン・ブローカーが記録を破る出来高の対応に苦慮している間、望んだ値段で株を売ることができませんでした。 株価が振れた時、すばやく利益をあげることができるとインターネット取引に信頼を置いていた個人投資家は手錠をはめているかのように感じていました。 Eトレードやウオーター・ハウスやアメリトレードなど大手オンライン・ブローカーのメッセージ・ボードは不平不満でいっぱいになりました。

           その一方で、ジョージ・ソロスのソロス・ファンド・マネイジメントやジュリアン・ロバートソンのタイガー・マネイジメントがインターネット株に最近大きな賭けにでたとの噂にネット・トレーダー達はあれやこれやと花を咲かせました(buzzing with rumors)。大手ヘッジファンドが少なくともショートやベアのポジションの一部を“買戻した”(“cover”)とのリポートが昼間のマーケットの反発を説明する少なくとも1つの理屈になりました。 ソロスやタイガー・ファンドは公式にコメントを拒否しています。

            最近の数ヶ月で自分たちの株が3倍にもなっているインターネットで取引をしている連中(Internee’s “little guys”)は−ネット株から空気が漏れ出したので−下げ相場は特にきついものだと今週の相場を見ています。彼らは、多くの苦情をオンライン・ブローカーにあわてて持ち込んだだけでなく、マーケット・メーカーがネット株の取引を減らすと宣言したことによってマーケットの流動性が干上がり、Wall街を陰で操ることができる大手投資家達よりもずっと不利な状況に置き去りにされてしまったという事実に直面してしまったのです。

            チャールズ・シュワブのMayers&Schwitzerのトレーディング部長のマーティ・カニンガムが言うには “私は驚きの真っ只中に座っていた。ベストを尽くしたのだけど、、、” シュワブは数週間に渡って、シュワブのリストに顕著に載るもっとも動きの激しいネット株について“劇的な取引が執行されるとの期待を持たないで下さい”とのメッセージを顧客に送り続けています。 シュワブや他のオンライン・ブローカーにとっての問題は、ある株が5分で30ポイントもぶっ飛んだ時利食いをだすのがほとんど不可能だということです。

            多くのナスダックのディーラー達はインターネット株を取り扱えないことにフラストレーションが溜まっています。ネット株から撤退する会社も出てきました。今週末にバーナード・マドフ証券投資会社はアマゾン、ヤフー、インフォシークの3つのナスダックのネット株の取引を止めます。 マドフ氏は “我々がネット株から撤退するという事実は、メッセージを投げかけているのだ。”と。 彼の会社はアマゾン株を取り扱う大手ディーラーの1つです。“この種の行動は見たくない。結局、このバブルがはじけたら、人々はバッグを抱えたまま置き去りにされるだろうと思います。私はそんなことが起きた時にその現場に居たくはないのです。”と。 先月、CMGIの8%の取引を扱ったベア・スターンズ社も、インターネット株の持株会社CMGIの取引から撤退してしまいました。

             技術的な問題が、小口インターネット投資家達の間に激しい怒りを生じさせています。激しい出来高のために注文を出すのに問題のあるオンライン・ブローカーの顧客もいます。カリフォルニア北部のエンジニア、デーブ・ハーワードさんが、水曜日、仕事の前にインデックス・オプション取引のショート・ポジションを手仕舞うためにE・トレードにログオンした時、“このサービスは一時的にご利用できません” とのメッセージの挨拶を受けました。 電話でプット・オプションを売ることができたということですが、それも何度も通話中や通話不能の後にやっとのことでということです。


# Web株のVolatilityにマーケット・メーカー達、脅える! (01/08/1999)

           たしかに、最近の狂乱じみたインターネット株への買いは悲惨な結末(an ugly end)を迎えるだろうが、これらの株をカバーし
      続けるナスダックのマーケット・メーカー達もいます。

           Volatilityと極端に高いValuationはウェブ株を保有するリスクを増大させるので、多くのマーケット・メーカー達 − ナスダックで
      売りと買いの注文を合わせるブローカーやディラー達 − はこれらの大変人気な、論争を呼んでいる(high-profile,controversial
      names)株式の取引を減らしはじめました。 なぜなら、マーケット・メーカーは、売りと買いの反対売買を執行するために自らの資金を
      しばしば使わなくてはならないからです。 そして、ウェブ株のバッグの中身が破れ落ちた時、置き去りにされ、そのバッグを持ち続けて
      いたくないからです。

           マッドフ・セキュリティーズの会長、Bernard Madoff は “この種の投機は先例がない。” “risk/reward ratio はマーケット・
      メーカーにとって全くばかげている(totally out of whack)、、、87年から仕事をしているみんなは、さらにこの状況が悪くなるだろう
      と心配している。” と。 ブローカー達によると、 たくさんのウェブ株があるので、これまでのところマーケット・メーカーの行動はほとんど
      インパクトがないとのことです。

            しかし、実際、マーケット・メーカー達が再度取り扱いはじめるとまさにVolatilityを悪化させることになるのではないかと懸念を
      抱く人もいます。 高騰する(jumpy)マーケットを安定化させるのが彼らの仕事なのにVolatilityに脅えているのです。 Wall Street
      では、インターネット株に巻き込まれないように取引量を減らすというマーケット・メーカーの決定はあまり先例がありません。 過去、
      投機的なバブルに直面した時同じような手段をこうじたマーケット・メーカーはいましたが “このレベルの、、、こんなに多くの会社の
      は見たことがない” とMadoff氏は言います。

            フリート・ファイナンシャル・グループのようにある種のウェブ株を一斉にマーケット・メイクするのを止めてしまったマーケット・メーカー
      もいます。フリート社はどの株の取引をやめたか公表はしていません。 しかし、Madoff氏によると、アマゾン株についてCIBCオッペン
      ハイマー証券が12月中旬、$400のターゲットを設定した後、16のマーケット・メーカーがAMZN株の取引を減らしました。 AMZN
      株はその後、1日で20%以上も上昇し、この会社の価値がいったいいくらなのか激しい論争が繰り広げられています。

             多くのマーケット・メーカーは市場外でウェブ株を値付けする際のスプレッドを広げています。 − 彼らが株を買う時は値を下げて、
      売る時は値を上げて。 この事によって、小規模のトレーダー (the day trader や momentum player、 彼らがこのセクターに火を
      つけている)にとってはウェブ株を取り扱う魅力が薄れてきているとハーウィック・キャピタルのRobert Herwick は漏らします。

              ハーゾック・へイン・ゲダルド社はインターネット株の “自動電子執行” を過去数ヶ月にわたってやめてしまいました。ゲダルド社
      の会長兼最高経営責任者で “早耳” (“Buzzy”)の異名を持つ、Emanuel Geduld は “我が社はインターネット株の自動コンピュー
      ター取引をやめてしまって、代わりに手作業でこれらの株を取引している。” と言います。

              Herwick氏によると、マーケット・メーカーは何故株が動いているのか分からない時がしばしばあるということです。 なぜなら
      オンラインのBulletin Boads や Chat Rooms に載ったメッセージがウェブ株の値段に影響を与えているからです。 “マーケット・
      メーカーは自らが盲目(blind-sighted)であるかのように感じている” とのことです。


NTT : No AT&T    ( 10/25/1998 )

          先日、東証にNTTドコモが上場しました。時価総額でNTT,トヨタに次ぐ東証第三位の大型株、世界最大のIPO,世界最大の
       セルラー・フォン会社等々の形容詞で話題をさらっています。ドコモについでNTT自身も第4次売り出しを予定しています。今月19日
       付である金融専門紙に載ったNTTとドコモに関する記事をご紹介します。

         NTT : No AT&T
           Despite parallels, a breakup may not invigorate Japanese telecom giant
           By Neil A.Martin

              この名前の中に隠されているものは? NTT (Nippon Telegraph&Telephone)、日本の準民営化電信電話会社の場合はちょっと事情が違うようです。 AT&Tの後を追うように、1952年に現在の形態になったNTTは今日、80年代始めの分割前のMa Bell (AT&Tの通称、母ベル)と思われています。:つまり、変化に抵抗する独占官僚組織と、顧客への無責任という意味において。

              しかし、AT&Tはいくら規制された独占会社といっても投資収益と株主に対して注意を払わなければなりません。 NTTでは今までもずっと、そして今日でさえも、予算、社長の任命権、自らの進歩のペースを握っているのは政府・官僚です。 日本最大の企業(去年の売上は2兆3000億円)はアメリカやヨーロッパの通信事業者と比べて、NTTの料金は高いと公式に認めています。 “ 通信コストを比べると確かに日本は先進国の後塵を拝している。” “ 我々は、コンピューター関連ソフト開発の分野においては、米国に遅れをとっているのは確かだが、これは永久に米国に遅れているということを意味しない。” と宮津社長は2年前、日本人インタビュアーに語った。 しかしながら、その時からそんなに大きくは変わっていません。 技術の優秀さはよく知られているものの、NTTはコストとカスタマー・サービスの点においてはまだなお遅れています。 昨今の値下げにも関わらず、長距離通話は高いままでした。 東京・大阪間は、数週間前まで、ディスカウント国際通話を使ってニューヨーク経由で東京から大阪へかけるほうが安かったのです。通信設備も高いが、インターネット、マルチメディア・サービスも不適切で待望されるものです。

              しかし、通信事業者間のグローバル競争と規制緩和によって望むと望まざるとに関わらずNTTは変革を迫られています。 AT&T,BT,WorldCom、Deutsche Telekomは、NTTのホームグラウンドでNTTの回線を使用したり、ライバルとタイアップして、より安く、より多様な電話・マルチメディアサービスを提供しようと計画しています。 NTTの幹部たちは、AT&TとBTの提携のようなメジャー電話会社のグローバル同盟には懐疑的な眼差しをむけ、NTTが既にプレゼンスのある国の企業との“協力的関係”を強調しはじめました。

              より重要なことに、日本政府は15年の“足のひきづり”を経てやっと来年、NTTを当初3分割 − 2つの地域会社と、1つの長距離会社(この会社に当初国際市場への参入を認める。)− することに合意しました。 理論上は、この分割によって、物事の決定権は中央政府から分権し、それぞれの会社はより競争的になることになります。しかし伝統と因習の泥沼にはまった会社を本当に改革できるのか疑問が残ります。 1つは、まだ政府の親指の下(政府が65.5%の株を保有しています。)にあり、海外マーケットでは“latecomer(後発組)”である点です。いま1つは、来年まで国際サービスを提供できない点です。1部の回答は木曜日、2兆円を上回ると予想される世界最大のIPO、NTTドコモの上場時に得られるでしょう。ドコモは、1株益33425円に基いた公募価格からして時価総額で7兆7千万円、日本で3番目の規模、1986年の1兆5千億円を上回るIPOになるでしょう。

               また、大蔵省はNTT株100万株を売出そうとしています。この売り出しにより政府は1兆円の歳入を見込みます。両社の売り出しは重要です。政府にとって、財政赤字を埋めること、銀行を保証する(bail out)キャッシュを提供するのを補う役目を期待されています。 NTTにとっては、NTT自身のIPOでの損失に苦しむ投資家の評判を取り戻す企てにもなるのでしょう。 もともと政府は部分民営化の始まった1985年にNTT株の2/3を売却しようと計画していました。1990年のバブルの崩壊で計画を変更せざるを得なかったのです。結果として540万株だけ売却しました。今回で4度目になる売り出しは過去何度も延期されました。直近では3月に企てられましたが、大蔵省の50万株の売り出しの恐怖にマーケットは低迷してしまいました。しかし、今や大蔵省は世界資本市場の危機のさなか、また、ヨーロッパから極東に至るまで世界の巨大通信事業者が公募売出しを中止せざるを得ないさなかに事を進めようとしています。

               NTTは、アメリカのベイビー・ベル(AT&Tの分割子会社)の16−20倍、BTの16倍、ドイツテレコムの14.4倍と比較してリッチにも来期予想EPSの70倍以上の値段がついたままです。 S&PによるとNTTの税前利益率は6.3%と世界のメジャー通信事業者の中で最低です。対照的にAT&Tは17%、ラテンアメリカの通信テレコムは30%です。NTTのROEは悲惨にも5.4%です。AT&Tは29.9%、ベイビーベルは16%近辺です。しかし3/31決算において、NTTの営業利益は35%、税引純利益は93.5%上昇しました。しかしながら、これは主にドコモとその子会社に負うところが大きかったのです。ドコモの使用者は爆発的に伸びています。1994年3月時点の130万人から、この8月には2000万人以上に達しました。対照的に親会社は税引利益が1.6%減に終わりました。これは通常回線の初の値下げと、競争激化で長距離サービスの20%以上の値下げを余儀なくされたからです。NTTは今年、NTTパーソナルの巨額の損失を計上します。NTTパーソナルはPHSサービスを提供し、携帯電話と競合関係にあります。PHSビジネスに関するもっと巨額な損失は既に引き継がれたドコモにとっても負担となります。1650億円以上と見積もられる9つのPHSプロバイダーは解散されます。会社によると、その結果、今年3300億円以上の負担に悩まさられることになりそうです。しかし、この損失の消却により税負担が軽くなり、連結でも単体でも利益率はそれぞれ12%と6.5%に上昇します。売上はグループで11%、親会社で2%増加します。来期の親会社の売上は減少し、利益率もフラットになると予想するアナリストもいます。 ドコモのスピンオフが成功した後でさえ、NTTの持株は、以前の95%に対し依然67%になります。ドコモはNTTのキャッシュ・フローの70%、連結売上の30%、連結純利益の60%を提供します。この“スター”のキャッシュ・フローがなければ、NTTは深刻な問題に陥るでしょう。

                日本の巨大年金ファンドや保険会社は、この売出しを支える大きなプレッシャーのもとに置かれるでしょう。外資系証券会社の幹部は “売上のピッチに関して、急いだ感がある。政府はこの株の現況を認識しており、成功させるのに躍起になっている。”と。 ある日本の年金ファンド・マネージャーは “主幹事の日興證券によってstrong−arm tacticsが使われ、このファイナンスを国家の威信をかけたものとしている。” と不平を漏らしています。日興と共同主幹事のゴールドマン・サックスはドコモのタイミングとプライスについて何度も協議を重ねるなかで、ゴールドマンは延期と、いったん表明したプライス・レンジの引き下げを要求したけど “結局は日興は聞く耳を持たないだろう” とこのIPOに近い情報筋は打ち明けます。 公募の30%は海外で行われます。アメリカの投資家は日本の原株の1/1000の価値を有するADSを買うことができるようになります。報じられたところによると2.5倍以上の申し込みがあったので、政府は成功に確信をもっていますが、ヴァリューエイションに疑問を投げかける投資家もいます。JTや日本テレコム、JR西日本など上場後すぐに下落した大型株の上場の歴史を思い起こす人たちも多いでしょう。そして、誰がNTT自身の崩壊を忘れることができましょうか。上場後1年で、1987年4月に1株25440$まで130%、EPSで240倍まで暴騰したあと、1992年8月に1株4920$のどん底まで下落しました。NTT株はその後2度と新値をとっていません。ADSも直近40$で取引され、1997年夏の高値50$を、1994年デビュー時の40$台半ばをも下回っています。

               よりドコモに近い沖縄セルラー(直近の日本の携帯電話のIPO)は現在下落傾向に転じ、1997年4月の初値を65%下回っています。しかし、NTTはドコモについては違うストーリーを想定しています。別のNTTの子会社、NTTデータ通信のように成功するだろうと期待しています。1995年に上場したNTTデータはドコモの1/3の規模で、初値をまだ上回っているとはいえ97年の高値の65%の水準であると指摘するアナリストもいます。多くのファンド・マネージャーは、公募価格が高めに設定され、上場後数週間で15%−20%調整するだろうと見ています。Credit Suisse Asset Management傘下のBEA AssociatesのRichard Watt氏は “ 世界を見渡すと、携帯電話会社は世界中どこでも高値を打った後、ヴァリューを失っている。” と言います。 例えば、アメリカ最大の Air Touch も夏のピークを30%下落しています。他のセルラー会社も28%から82%今年の高値から下落しています。 Edinburgh Fund Managers の日本株担当ファンド・マネージャー、Kevin Gibson 氏も “ ゴールドマンがこのIPOに立ち向かっていくのはある種皮肉なことだ。ゴールドマンのパートナーは自身のIPOにも、世界のマーケットはまだ十分用意ができていないと、上場の延期を決定したばかりなのに ” と付け加えます。ニューヨークに拠点を置くHaven Fund のマネージャー、Colin Ferenbach 氏はもっとぶっきらぼうに “ 私は、自分のポートフォリオに20%下落した株式を十分もっている。もう他の(20%も調整する)はいらないよ。” と。

                東京の外国人アナリストはドコモの上場によって、戻り歩調のマーケットが崩れるのではないかと心配しています。東京マーケットは12年来の安値近辺で、1990年のバブルの高値の70%以上下回っています。東京の Atlantis Investment Research社の社長、Edwin C Merner氏は “ マーケットはこの規模のファイナンスをこなせないだろう。なぜなら、人々は株式の持株比率を引上げるより、ドコモを買うために手持ちの株を売る誘惑にかられるから。” と言います。ドコモとNTTの売出しがどうあれ、戦後数十年で最悪の日本の株式市場と日本経済に苦しんでいる会社にとって、これらの売出しは深刻な問題を投げかけるものです。 過去50年間にわたってNTTは130以上のの子会社を持つ巨大通信事業会社に成長しました。NTTは、6100万人の利用者、90の支店、260のネットワーク・センター、年間研究開発費2645億円、15の研究所を持ちます。22万6千人の従業員は、民間部門で日本最大です。NTTのヘゲモニーの下では日本の国内マーケットは完全には発展しないだろうと認識している政府内の改革者達はこれまでにNTTを分割させようとしてきました。しかし、多くの観察者は今回の分割を権力と地位を温存しようとするNTT官僚の勝利と理解しています。

                 さらに、NTTの不確かな将来はこの会社の信用格付けにも影響を与えています。S&P東京事務所のアナリスト、フクトミ・ダイスケ氏は、進行中のリストラと競争の激化は将来のNTTのマーケット支配力に影響を与えるだろうと見ています。 S&Pは最近、長期債のレーティングをトリプルAにしたものの、概観を Negativeにしました。不確かさのトップ・リストに、回線使用料の減額(NTTの回線を他の事業者が使う時に掛ける料金)と、市内通話・長距離通話の競争激化(今後数年間で年率10%程下がると思われています)をあるアナリストはレポートの中で揚げています。こうした料金の値下げは、米国や英国では電信電話マーケットで強壮剤の役目を果たしました。つまり、消費者に電話サービスのブームを興し、よろめいていたAT&TやBTを競争的な会社にしたのです。しかし、NTTは回線使用料の値下げに抵抗しました。戦略立案と国際部門担当のNTTの副社長、タカセ・ミツヒロ氏は “ 我々は、我々の回線を使用する者に実費の料金を課しているだけだ。課金が過剰ではない。” と反論します。

                 NTTはまた、国内の市内、長距離市場と来年解禁の国際市場で厳しい競争にさらされています。既に、BT、Cable&Wirelessとドイツテレコムは日本でリース回線を使ってビジネスを始めることを決定しました。 この会社は事態が何であるか知っています。 NTTのタカセ氏は本誌に “将来、競争はかつてないほど獰猛なものになるだろう。我々は、世界のテレコム産業に取って代わるには変化に変化を重ねなければならない。” と語りました。 多くのテレコム会社のように、NTTはインターネットとマルチメディアに望みを繋ぎ止めています。しかし、日本の家庭では15%以下しかコンピューターを持っていませんし、積極的にオフィスでPCが使われるのは10%以下ですし、そのうちのほとんどの人はインターネットに接続しません。日本がサイバー・スペースにおいて立ち後れているのは疑問の余地がありません。

                 NTTの成長の真の望みは海外にあるかもしれませんが、それは世界の競争者と提携することにかかっています。しかし、NTTは現在のところ買収や資本提携、グローバル同盟に関心を示しません。AT&T,BT,Sprint,Deutsche Telekom など他のキャリアーはこの種の提携に将来の社運を賭けているというのに。NTTは、上海NTT(51%株式保有)、PHSインターナショナル(27%保有)、香港の携帯電話会社などのローカル・プレイヤーへの投資戦略に主に従ってきました。NTTが強い関心を示してきた唯一のエリアはアジアであり、そこでオフィスを開設し、新しい提携関係を形成してきました。これらはまさに、アイルランドの East Telecom Groupの Denis O’Brien氏の言葉を借りれば “ 今、同盟を考え始めるのは実に遅すぎる。NTTが米国や英国の通信会社を買収しようとすると、物凄いお金を払わなければならないだろう。それはまさに、日本が買収して映画ビジネスに乗りだそうとして、遅すぎた故、法外な値段を払わなければならなかった時の二の舞だ。”  伝統ではないだろうがNTTはそうしようとするのだろう。
 

              Dialing for Yen
                      Is DoCoMo worth its stiff price?

                   世界最大のセルラー会社はその価値に値するのか? 1株33425$で、値段の絶対値からすると Berkshire−Hathaway (バフェットの投信会社)のA株に次いでドコモは2番目の規模になりそうです。これはフェアー・ヴァリューを表しているかどうかは、米国や欧州の機関投資家によると、あなたが、ドコモの将来の成長のぶっ飛び(hype)を買うかどうかに依っています。特に、日本における携帯電話の “活気にあふれた計画 (the ebullient projection)” を買うかどうかにかかっています。 もう一つの疑問 : ドコモは、重大な第3世代技術への移動体産業の移行のペースについていくことができるのだろうか?

                    ドコモは、その親会社とは対照的に、成長市場で57.7%のシェアを占める、経営状態の良い、反応の速い、人工的につくられた、利益の上がる、移動体通信会社です。売上は過去4年間で5倍以上に急成長しました。一方、利息・税金・減価修正前の利益(EBITDA,earning beforre interest, taxes, depreciation and amortization ) は現在の不況にもかかわらず、年間40%を上回る爆発的な伸びを示しています。 しかし、ドコモ自身の試算によると、売上と利益率は低下するかもしれないとのこと。次の3月で〆る本決算予想では、売上は、昨年の25.3%増と比べて、約14%しか増加(2兆6千億に)しない見込みです。税前利益は、1昨年の2倍になった去年と比べると、10%減り2415億円になるそうです。 そして、1昨年から4倍以上になった純利益は36%しか拡大しません。

                     ドコモは、今後数年間の成長に強気の計画を描いているけれども、将来の成長は明らかに、過去の熱烈なペースで、新しい顧客を獲得し続けることができるかどうかにかかっています。: 利用者は1994年の1300万人から2000万人以上に飛躍的に増えました。  日本は既に、いわゆる携帯電話使用の浸透率(penetration rates)では世界で6位にランクされます。60%のフィンランド、42%のスウェーデン、41%のノルウエー、38%の香港、31%のイスラエルに続きます。そんなに高い浸透率があれば、世界第2の経済国はもっとよくなるだろう。 前出のRichard Watt氏いわく “ みんなフィンランドの例を引き合いに出すのを好むが、私にすれば、日本の浸透率がこのレベルまで行くかどうかけっして明らかでない。特に、世界は低成長に突入したし、かなりの確率でリセッション的な環境になるだろうしね。”

                     サンフランシスコの Montgomery Asset Management のシニア・ポートフォリオ・マネージャー、Oscar Castro氏は批判をかわしながら、“ 現在の問題にもかかわらず、我々は、日本の長期的な経済見通しを楽観視している。 もともと考えられていた程のスピードで今後成長しないかもしれないが、セルラー・マーケットにおける我々が適切と考えるEBITDA倍率にまで売られる機会があるのなら、この会社を買う絶好の投資機会だね。”と。 Castro氏は、日本の携帯電話の浸透率は2000年までに40%、2005年には61%に達するだろうと予想しています。 “ これらの数字が我々の期待するものだ。 しかし、最大の心配事は、ドコモのオペレーション・マージンが業界で低い水準にある点だ。でも、オペレーション・マージンが拡大しないとはいえ、ドコモのヴァリューエイションは動かないだろう。”  アナリストの試算によると、ドコモは、EBITDAの7倍から8倍の水準で取引されそうです。 ヨーロッパの携帯電話会社のレンジは12倍(CCIL)から25倍(Vodafone)です。北米の携帯電話会社はEBITDAで7.6倍(Rogers)から12.5倍(AirTouch)で売られています。

                     競争が激しくなりドコモの使用料は値下げの圧力をうけ、将来のEBITDAの成長率が下がると心配する人々もいます。1兆7250億円と見積もられる次世代携帯電話(これは音声と同時にデータも移送も可能にする)の開発費にドコモの利益が耐えられるかどうか疑問を呈する人もいます。 ドコモはこれらの新技術に動き出していますが、Castro氏は “ 次世代携帯電話への移行は、追加的な出費を強いる新技術を構築する前に、古いシステムから最大限の利益を引き出すことができるような形でなさなければならない ” といいます。彼はさらに続けて、 “ ドコモが古いシステムと新しいシステムの技術的な橋渡しをしようとする間に、顧客基盤はより良いケアーと養成を提供する競争相手にさらされるだろう。だから、次世代への移行は効率的に行わなければならないし、顧客が船から飛び降りないように間に合わさなければならない。これは大きなチャレンジになるだろう。”


People Soft, SAP,Baan、 ソフトウェアー業界は試練の時! ( 10/5/1998 )

            2日(金)、ハイテク株は戻したものの、ソフトウェアー関連銘柄はまだ回復の兆しが見られない。 世界的な景気後退の
         影響をもろに受けた格好になっている。 以前大人気のこれら銘柄たちははたして華麗なる復活を遂げるのだろうか?

            Goldman Sachs のRick Sherlund氏は “ ( これらの会社より )より大きな大企業が世界的GDPの後退により売上減を
         余儀なくされている。 ソフトウェアーへの出費を抑えていくだろう。” と People Soft格下げした。 Morgan Stanley Dean
         Witter も “Strong Buy” から “Neutral” へ格下げしました。 People Soft は7月の高値の半値近辺をさまよっています。
         ヨーロッパ一のソフトウェアー会社、SAP ( ADRがNY上場 ) も8月初めの$60から現在、$33近辺です。 SAP については
         Morgan Stanley が1999年の利益予想を 1株79セントから77セントに下方修正しました

             世界的なリセッションは発展途中のソフトウェアー会社にとっては特に厳しいもののようです。 ソフトウェアーは製造業とは
          違って過去の支出パターンを参考にできないし、各企業も支出削減の真っ先に挙げるでしょうから。

             2000年問題への対応はどうなるのでしょう??



 
#  子どもが e−commerce の成長を促す!  ( 9/25/1998 )

             子どもやティーン・エイジの人たちのオンラインする数が増えるにつれ e コマースも発展するだろう。年末まで
          に900万人のティーン・エイジが active user になるそうです。 この数字は全米のティーン・エイジの48%
          あたります。こんにち、子どもたちは学校で勉強道具としてインターネットをしています。インターネットは情報を
          とったり、調べものをしたりするだけでなく、コミュニケーション、商売、ショッピング、エンターテイメントなどを楽しむ
          ことができます。 数年後には、彼らはなんの躊躇もなく音楽や本、服や食品を買うようになるでしょう。

              “ e コマースはなかなか利益の上がる商売じゃない、だから、e コマース関連銘柄に投資するのはリスクが大きい ”
          と考えている人も多いと思います。 でも、想像して見てください。将来は子供たちのためにあるのです。 彼らが作り出す
         社会を。  e コマース関連銘柄から目を離してはいけません。

 
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YAHOOの株価はまだ始まったばかり! − ソフトバンクの孫社長  ( 9/19/1998 )

           僕が日本の経営者の中で1番尊敬しているのはソフトバンクの孫 正義 社長です。今から15年前、僕が
          中学生の頃、父が持ち帰った雑誌で孫 社長のことを知って以来のファンです。証券会社で働き出した年に
          ソフトバンクは店頭市場に公開しました。以来、ソフトバンク株をずーっとWatching していますが、皆さんも
          ソフトバンクについてはよくご存知だと思います。 ヤフー、E トレード、ジオシテイーズ、ZDネット、キングストン、
          トレンド・マイクロ、サイバーキャッシュ等々、に出資しています。  孫 社長についてはたくさん本も出ています。
          ぜひ、1度読んでみてください。  それはさておき、某雑誌に掲載された孫社長のインタビュー記事の1部から。
 

             “ インターネット株式はバブルだと言っている人がいまだに日本の場合は相当多いと思うんですけど、
       恐らく単に理解が足りないのだと思う。 インターネットはこれから爆発的な規模で伸びていくし、今はまだ
       ほんの入り口にすぎないんです。” ( 孫 社長 )
               − うん、うん。ほんとそうですよね。

            “ 確かに、インターネット関連の会社というのは、目先、売り上げ、利益の絶対額がそんなに大きいわけ
       じゃない。でも、中長期で上がってくる利益の絶対額は相当大きな規模になっていきます。 例えば、
       ヤフーは1広告クライアントから数十億円単位で年間契約を取れる規模になってきている。ほとんど全部
     粗利益なんですよ。 ” 
          − そうそう。すごいですよねえ!

            “ そもそもヤフーは今、月に30億ページも読まれているんです。30億ページということは、時間数に
       直して世界中の何千万人の何千時間も求心力を持って集めているわけです。これは大変なポジション
       だろうと思うんですね。それが事業として大きなリターンを得られないということはありえないと思いますね。”
                −  まさに、そういうことですよねえ!

            インターネットと比べれば、どんな事業も全部見劣りする。”    孫  正義、 ソフトバンク社長


  Massacre !!  狂乱の売り。  ( 8/31/1998 )

             " Massacre "  CNNのウェブ・ ページに " 虐殺 " の文字が躍る。 早朝6時半、寝ぼけ眼でCNNのヘッドラインを
          目にした僕はコンゴ内戦の話かと一瞬目を疑った。 NY市場512ポイントの大暴落である。 3:30a.m. ( 現地時間
          2:30p.m. )までNY市場を追っかけていた僕は100ポイント安のNYに落胆して眠りについた。 引け前の急落である。
          投信のプログラム売りということらしいが、 Frantic selling ! まさにNYは狂乱の月曜日であった。

             先週、 DOWは一週間では過去最高の下げ、 418ポイント安を演じていただけに518安は奈落の底に突き落と
          された感がした。 昨年10月の暴落時、 アジア通貨危機がNY市場にはじめて顕在化した時とは明らかに異質だと思う。
          あの時は衝撃度においては今回を上回るものがあったがNY市場は2日目、 寄りから強烈に売り浴びされた後、 10時を
          過ぎたあたりから " Buy Opportunity's coming!! " と劇的にリバウンドした。 9ヶ月後の7月17日には史上最高値 9,337
          をつけたのである。 それが今回、 リバウンドらしいリバウンドはなく8月初めプルデンシャルのアカンポーラが警告を発して
          以来4週間を経てのCRASHである。 米国経済は悪くない、 ロシア問題は限定的だ、 海外の通貨危機ばかりに目を奪わ
          れるべきでない、 といったBULL達の声が空しく響く。 マーケットは明らかにBEARが支配した。

             さて、本当に " 90年代のBULL相場が終焉 " したのか、 あるいは 2000年を前に夢の10,000ポイント超えをなすのだ
          ろうか。 知的冒険者である僕たちは難しい判断を強いられる局面にきた。


     #  なんと、16歳以上の7900万人がインターネットを使用 − 北米 − ( 8/24/1998 )

              Nielsen Media Research と CommerceNet の調査によると、Webを通じて商品やサービスを購入した人は
            2000万人を突破したという。商品やサービスを調べたり比較した人は4800万人に登るそうだ。また、売り手
            の64%、買い手の74%が男性だという。

               アメリカとカナダでは16歳以上で7900万人がインターネットを使っているという。昨年の9月に比べて40%
             増である。18歳以上でアクテイブ・ユーザーの22%が過去6ヶ月にエアー・チケットを購入したり予約したことが
             あるという。ソフトウェアーについで “ 旅行 ” がE-Commerce において2番目のカテゴリーであるそうだ。

               たくさんのオンライン・リーテイラーの株式が取引されているが、これらの統計は今後のこの分野の株式投資
             にとって大変心強い数字である。僕は商取引という経済行為だけでなくあらゆる人間の行為がWeb上でできる
             − 恋愛・結婚までも −ようになり、その多くが数年前には存在しなかった企業や組織によって提供されるよう
              になると思うと興奮を禁じ得ません。 経済成長と付加価値の創造。Cyber Wopldへの投資は最も刺激的で
              また、投資の原点を思い起こさせてくれます。


     #  今や、東証は極東のローカル・マーケット!? ( 8/19/1998 )

              アメリカの株式市場が空前の活況を呈していることはみなさんのご存知の通りです。いかにすごいかと言うと
            1日の売買代金がマイクロソフト1社で東証1部全部を凌駕する時もしばしばあるのです。1社でですよ。東証1部
            には現在日本を代表する企業が1335社上場しております。いかに日本の株式市場が低迷しているとはいえ、
            皆さんはこの事実を信じられるでしょうか。アメリカの事はよく分からない、アメリカはバブルで恐ろしい、といった
            偏見と固定観念を捨て去りもう少し投資の選択肢を広げられたらいかがでしょうか。お金は世界中を瞬時に駆け
            巡ります。日本の方が分かり易いと言って東証に固執している事は世の流れに逆行していることになるのでは。
            これでは儲けるのは難しいでしょう。だって、株は美人投票なんですから。

                  8/18  マイクロソフト     出来高 ・・・1、764万株。     売買代金・・・2、860億円。

                  8/18  東証1部           出来高・・・ 3億2400万株。  売買代金・・・2、910億円。(内379億が立会外)