将 棋 三 昧

全く将棋くらい負けて口惜しいゲームもないように思う。 パチンコや競馬・麻雀だったら、今日は運が無かったで済む。 しかし将棋は知能ゲーム、負けると自分の無能さを見せつけられたようで自分自身に腹が立つ。 だが負けて口惜しい顔は程ほどに...。 顔で笑って心で泣いて(苦笑)

将棋を覚えたのは、子供の頃で未だ小学校に入る前だった。 戦死した母方の叔父に、駒の動かし方と“王様がつまされたら負け”というルールを教えて貰う。 当時、未だ幼児だった私に邪魔くさがらずによく付合って呉れたものだと今にして懐かしく振り返る。

小学生の頃は将棋といっても“駒崩し”に金将の駒を四枚振って表が出たら1、裏が0、横に立てば5 縦なら10、双六のような遊びである。 遊び仲間に“本将棋”を知っていると言っても本当にして貰えなかった。

中学生になって同級生や上級生と熱くなって指した時期があった。 同級生が棒銀戦法を覚えて来て私は防戦一方になり、それから勝てなくなってしまったのを覚えている。

社会人になってからは、忘れたように殆ど指した事が無く興味も湧かなかった。 50歳になる少し前くらいから会社の昼休みの将棋を観戦したり、自分でも指したりしたことから再び熱中し始めた。 「初段くらいの棋力にはなりたい」と思うようになり、本を買って来て 戦法や定跡を勉強し始める。 初段くらいの力はついてきたかと思われる時分、今度は「初段くらいの人には負けたくない」に替わり、仕事以外は将棋漬けになった。 プロの対戦棋譜や定跡類の本を読み漁る。 ( しかし本を読んで強くなれれば、こんな楽な事はなく皆が名人になれるかも...(笑) 読まないより読んだ方が知識がつく、しかし強くはなれないと知った。)
日曜・祭日は道場通いが続いた。そして還暦を迎える頃に漸く三段くらいの力が付いたように思う。

若い時に、これだけ熱中したら、もっともっと強くなったのだろうが、生まれつきの将棋思考能力もあるし私には限界である。 プロのトップにある人達は、努力もあるが天才でもあると思う。 またプロとアマの段・級の差も比較にならないほど大きい。将棋くらいプロとアマの差が歴然としているのは他に無いのではなかろうかと思われる程である。

現在はパソコンに夢中になったりしていて、人と指すことが少なく棋力も落ちた。 甘く見ても初段くらいがよいところかも...。強くなろうと思うなら「一手違いにならない相手とは指すな」の格言があるくらいで自分と同程度かより強い人と指さないと棋力は上がらないし興味も半減。 それ故に差があれば“駒落ち”でハンディを付ける。 しかし最近はオール“平手戦”で、“駒落ち”の将棋は少ないようだ。 駒落ち将棋も指せば“駒落ち”ならではの味があって面白いのだが...。

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