日本の鉱山文化

 貴重な本をお贈りいただきました。「日本の鉱山文化-絵図が語る暮らしと技術」と題するその図書は国立科学博物館で平成8年に開催された 、同名の企画展の展示品の解説本です。  先般、トピックスにアップした中川直樹さん からの寄贈です。
あなたが鍛冶屋の絵を集めておられると聞き、私が持っているより貴方のほうが有用でしょう。こんなコメントと共に送られてきました。 その本の1ページ目には国立科学博物館長の『ごあいさつ』以下のように記載されていました。

 人類の歴史において、鉱業はどの国においても科学技術発達の中心でした。鉱山は、有用鉱物を採掘するための地質学的知識や測量技術、 採掘技術、精錬のための科学知識やその技術など、いろいろな科学技術のもとに成り立っていたのです。たとえば、有名なワットの蒸気機関も、 鉱山の排水のために考案され使用されたと聞いています。

日本においても、江戸時代には種々の鉱山技術が発達し、明治期以降は欧米の近代技術を導入し、さらなる発展を遂げて現在に至っています。 しかしながら近年、相次いで諸鉱山が閉鎖され、私たちの記憶から鉱山の歴史は急速に薄れっっあります。鉱業の重要性は、広く資源という点からも、 今後も日本が考えていかなければならない大きな課題であります。(中略)

本特別企画展の開催に際して、ご協力いただいた関係機関、関係各位に深く感謝申し上げるとともに、この展示の意図が一人でも多くの方々に伝えられ、 鉱業の重要性を再認識するきっかけになれば幸いです。

1996年2月   国立科学博物館長 坂元弘直

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