蓮浄寺のボルトとナット

 近所にある浄土真宗のお寺、蓮浄寺の庫裏(くり)の解体が始まりました。ご院主さんに聞くと、200年くらい前のものか?と言われました。早速、出向いてお寺にお願いし、ついでに大工さんにも頼みました。『釘や金具が出たら残しておいてください。』江戸時代末期に建てられていると思われる建物です。何度も修理を重ね、今回解体し新築することになりました。  今は海岸まで4 km以上離れていますが、臨潮山の山号を見ると昔は海岸に近いところにあったのでしょう。数年前に解体修理された本堂の鬼瓦には嘉永6年(1853年)5月吉日、鹿万津田町 小林弥兵衛と書かれています。ペリーが浦賀に上陸したのはこの年の6月、江戸は騒然とした時代を迎えました。

  


 釘とカンヌキ止めの金具、樋受け金具と共に6本のボルトが出てきました。釘とカンヌキ止めの金具は和鉄(たたら製鉄で作られた鉄)製でしたが、ボルトは材料が何か判明しません。おそらく、明治時代末期から昭和初期までの間に修理をしたときに使われたものでしょう。手作りのボルトとナットは1組ごとに作られ、形状はそれぞれ異なり互換性がありません。ボルトの直径は16〜17φmm、ナットの穴径は14.4〜15.2φmmとまちまちでした。このボルトやナットを作った鍛冶屋さんの苦労が目に浮かぶようです。

 

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