沙羅の花と鍛冶屋

 お釈迦さまは、高齢になられても各地を巡り大勢の人々に説教をしました。 ある時、熱心な信者の鍛冶屋チュンダの招きでその鍛冶屋に泊まりました。 疲れのせいか?夕食のきのこに当たったのか?体調を崩してしまわれました。 鍛冶屋をはじめまわりの人々の手厚い看病も効きめを発揮せず、クシナガラの沙羅の林で入定(亡くなること)されました。

 その時、沙羅双樹がいっせいに花を開き、その死を悲しんだと伝えられ、 仏教とゆかりの深い銘木です。沙羅の花は短命で1日だけしか咲かず、すぐに落ちてしまうそうです。 私の見た香寺民俗資料館では花をまだつけていない多くの蕾と、白く咲いた可憐な花数個と、 苔の上に落ちた花1個を見つけました。

 このような沙羅の儚さを表現したのが有名な平家物語の書き出しです。 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を顕す」。 沙羅(サラ)は、もともとインド産で、日本ではこの木によく似たナツツバキのことをいい、 東北地方から朝鮮半島までに分布する落葉樹です。この時期、姫路の近くでは前述の香寺民俗資料館と 福崎の應聖寺で、京都では妙心寺塔頭の東林院が有名で、沙羅の花を愛でる会などが開催されます。

参考図書 & ホームページ

『ブッダ』 手塚治虫  潮出版社  1988年
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/4984/sara.html
http://www.town.kodera.hyogo.jp/ivent/right/sara.html


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