『鉄から読む日本の歴史』

目次
鉄器時代のはじまり    大陸からきた鉄器文化  ヤマタノオロチと製鉄民族 大和朝廷をささえた鉄器  三韓遠征と武具     権力の象徴としての鉄器 王朝の確立と製鉄の普及  姿を消した銅製武器   荘園経済をささえた鉄製農工具 鋳鉄技術の発達した鎌倉・室町時代  日本刀の輸出と鉄砲の伝来  南蛮鉄の流入 鉄山師の信奉した宗教   砂鉄七里に炭三里    タタラ製鉄の設備  タタラの操業法と製品 タタラ場残酷物語と幕府・藩の鉄山干渉       外国船の渡来と反射炉・洋式高炉の築造 富国強兵と近代鉄鋼業の勃興 原本あとがき 学術文庫版あとがき 右の絵は  湯口前働きの図 (『橋野鉄山絵巻』、新日鐵株式会社 蔵) 安政年間(1857年ころ)
 『鉄の生活史」の刊行から四十年近い歳月が流れ、「鉄の歴史」は、歴史学、考古学、民俗学、理工学など、 多岐な分野の研究者の方々から注目されるようになり、広島大学には「たたら研究会」 (現会長・潮見浩名誉教授)が結成されました。
 鉄をめぐる学問は、発掘や文献の解読、そして科学的機器類を駆使しての研究によって長足の進歩を遂げ、 そして現在も成果をあげっづけています。それにしても、五十年近く鉄とつきあってきた私ですが、いまだに十分な 理解ができたとはいえず、鉄とはじつに得体のしれない難しいものだと痛感しています。
原本発刊のおり、当時四十歳前の私に、序文をお書きくださった三木文雄先生が矍鑠としてご健在で、 本書を再びご覧いただけることは喜びにたえません。(以下略)
窪田蔵郎(くぼたくらお) 1926年生まれ。明治大学専門部法科卒業。日本鉄鋼連盟に勤務するかたわら、鉄に関する 歴史・民俗等の調査を行う。たたら研究会会員。著書に『鉄の考古学』『製鉄遺跡』『鉄の 文化』『日本の鉄』『鉄の民俗史』『鉄の文明史』『シルクロード飲物語』『鉄のシルクロード』など多数。

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