黒曜石  刃物の原点

 4月22日、インターネットで検索をしました。黒曜石が入手出来るかどうか?を調べたのです。 その黒曜石は伊豆諸島、神津島のものです。検索で出てきたのは神津島観光協会のホームページでした。 早速、用件をメールすると、『依頼はあるが対応していない』とつれない返事でした。翌日メールを開くと 『以前、黒曜石の工房を開いておられた石田様へ連絡すれば入手できるかも?』と電話番号が記載されていました。 電話口で奥様が『主人は夕方に帰って来ますので、その頃に再度連絡ください。』5月1日着払いの荷物が届きました。 中には30cm・15cm大の丸い石2ケが現れました。『海の匂いがする。』寺田君が言うので私も嗅いでみました。 微かに磯の香りがし、海底から引揚げると言っておられた石田様の言葉を思い出しました。

写真は左から 原石  破面(気泡が見える) 小片(ナイフとして使える)

  

 縄文時代、伊豆半島からこの黒曜石を採取するために丸木舟で危険な航海をした、勇敢な海人族達がいました。 神津島への行きは黒潮に乗ると島の近くまで、割合簡単に行けるようです。しかし、帰りはどうしたのでしょう季節を選び、 海流の色を見、風の向きを調べながら、黒潮の伏流れに乗ったのでしょう。

 こんな危険な航海をしても獲得した黒曜石は縄文時代最良の刃物だったのです。石と言う名が付いていますが、 実は天然ガラスなのです。火山活動で生まれたガラス質の溶岩が水中に入る時、冷却されて固まりました。 神津島の黒曜石はそのため、内部に気泡を含んでいます。日本では各地で産出しますが、大分県の姫島・長野の和田峠、 北海道の白滝、それと神津島のものが有名です。現在の技術では遺跡から出土する黒曜石の産地が特定できます。 神津島の黒曜石は関東一円で使われていました。ちなみに、白滝の石はロシア、アムール川の上流で発見され、 縄文人の活動範囲の広さを証明しました。
『石の道具』
神津島観光協会

戻る 進む