普通鋼と特殊鋼


 純粋な鉄(Fe)だけを含むものを純鉄と言います。これは軟らかすぎて実用には供しませんし 製造も非常に困難なものです。合金の研究などで使われますが、現在では電気的方法で作られ 電解鉄などとよばれます。鉄の純度が99%以上です。
 一般に使われるのが鋼で鉄に2%以上の炭素が含まれたものです。炭素だけを主な合金元素 とする炭素鋼とこれに炭素以外の合金、例えば、マンガン、珪素、ニッケル、クロム、銅、 モリブデン等々を加えた合金鋼とに大別されます。
 合金鋼は添加元素の種類と量によって、特殊な性質、高張力、じん性、耐食性、高温強さ、 耐摩耗性、高磁性その他の性質を持たせた鋼で、合金元素の総量の多少で、高合金鋼、低合金鋼に分けられます。
 また、特殊鋼という名前は、合金元素の種類、製造法、または熱処理に特別な配慮が払われる鋼の 意味であり、合金鋼ばかりでなく、高級炭素鋼(例えば工具鋼、はだ焼鋼、打刃物用地鉄など) をも含む広い意味をもっているということのようです。
 これに対して、通常の大量生産方式で生産される炭素鋼を普通鋼と申します。
一般的には普通鋼と特殊鋼は以下のような区分で使われています。

普通鋼───軟鋼  一般構造圧延鋼材 (SS)     溶接構造用圧延鋼材 (SM)
          鉄筋コンクリート用棒鋼 (SR,SD) 低Mn系非調質高張力鋼

特殊鋼─┬─構造用鋼  機械構造用炭素鋼  S10C  S45C など
    │       機械構造用合金鋼  クロム鋼 (SCr) 
        │                                 クロムモリブデン鋼 (SCM)
        │                                 ニッケルクロムモリブデン鋼 (SNCM)
    ├ 圧力容器鋼 ボイラー及び圧力容器用炭素鋼 (SB)
        │              ボイラー及び圧力容器用クロムモリブデン鋼 (SCMV)
    ├ 工具鋼   炭素工具鋼 (SK)
        │             合金工具鋼 (SKD SKD SKT)
    │       高速度鋼 (SKH)
        └ 特殊用途鋼─┬─(低合金系) ばね鋼 (SUP) 軸受鋼 (SUJ) 
            │        快削鋼 (SUM)  非調質高張力鋼 
            ├(高合金系)  ステンレス鋼 (SUS)  耐熱鋼 (SUH)
                       │               高マンガン非磁性鋼
            └(炭素鋼系)  ばね鋼 (SUP) ピアノ線材 (SWRS)
(参考図書 金属の百科辞典 丸善)
もの国メール Naoto Kuno Managing Director   Kuno Hatujyo Inc.


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