こぼれ話 7   『不銹鋼』  ふしゅうこう


 わが国でステンレス鋼が研究されはじめたのは1918年、特殊鋼の開拓者とたたえられる、東北帝国大学 金属材料研究所(当時、臨時理化研究所と呼ばれた)の村上武次郎による合金の研究です。
 ステンレス鋼の研究論文は1924年、海軍の吉川晴十『Ni-Cr鋼に関する研究』。 タービン翼材の開発でした。陸軍では川上義弘が世界中から集めたステンレス鋼の性質調査を行いました。
 ステンレス鋼の名称について海軍ではステンレス鋼を始めから不銹鋼(ふしゅうこう)と呼んでいました。 ただし、銹の字は、元字の金へんに粛でした。陸軍では当初、不錆鋼(ふせいこう)と呼んでいましたが、 たまたま研究員の病死などで研究が中断しました。以降、大成功の縁起をかついで 耐錆鋼(たいせいこう)と名前をかえました。
 1936年には、『金属鉱物標準用語』の中で『不銹鋼』という名称に統一されました。


参考資料 ステンレスのおはなし  日本規格協会
     住友金属工業60年小史
     ステンレス鋼技術史   日本金属工業株式会社

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