現在の製鉄  (鉄鉱石から鉄を生み出す)

 鉄づくりは、まず、天然資源である「鉄鉱石」から炭素分4〜5%を含んだ鉄、つまり「銑鉄」を生み出すことから始まります。 地球上で酸素と結び付き酸化鉄として存在する鉄鉱石と石炭を蒸し焼きにしたコークスを、製鉄所のシンボル、 「高炉」の中で最高2000℃もの高温でダイナミックに化学反応させ、鉄鉱石の酸素を取り除き(還元)、「鉄(溶けた銑鉄)」を取り出します。

 高炉の形は、生産性とエネルギー効率を追求した結果、“とっくり"のような形をしています。高炉で固形物を上から飲み込み、 液体とガスに変える工程は、人間の「消化機能」に似ています。高炉を操業するポイントは「体調管理」。 体調が良いと効率良く鉄鉱石の酸素を取り除くことができます。

 鋼を生み出す

 高炉ではコークスで鉄鉱石を還元するため、そこで生まれる銑鉄には炭素分が多く含まれています。 鉄は炭素分が多いと粘りがなくもろい性質になるため、鋼を生み出す「製鋼プロセス」では、炭素量を調整し、 もろさの原因となる燐、硫黄、珪素などの不純物を取り除いて、炭素分が約2%以下の粘りのある強靭な鋼にします。 炭素や不純物は酸素で燃えて熱を出すので、温度が上がり溶けた鋼ができあがります。

 製鋼法の主流「転炉法」は、燐や硫黄を取る「予備処理」と、転炉に酸素を吹き込み、炭素や不純物を取り除く「転炉(一次精錬)」と、 水素や窒素などの気体を抜き、合金を加えて鋼の成分を調整する「二次精錬」とで成り立っています。 その後、溶けた鋼は「連続鋳造機」に送られ、鋼が固まるまでにさらに固体の酸化物などを鋳型に浮かせて取り除きます。 また、浮かせて除去できない微小(10〜50μm)なものは、高度な解析技術と成分コントロールで、鋼材品質に悪影響を及ぼさない性質に変化させます。

転炉では上から酸素、下から不活性性ガスを吹き込み、攪拌する。酸化されやすい珪素、燐、炭素の順番で不純物が取り除かれる。

画像をクリックすると、製鉄と製鋼の全プロセスが現れます。

鉄の未来の『新・モノ語り』  新日本製鐵(株) 2004年 より

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