中世の鎖鍛冶

 先日、石田さまより『村の鍛冶屋』の歌詞についてお問い合わせがありました。『つち打つ響き』の“つち”は、 文部省唱歌が制定された大正時代にはどちらの漢字を当てていたのでしょうか?木偏の槌が正しいとお答えしました。 現在、ハンマーや金槌の記事を書いておられるとのこと。私も興味があるので、原稿が出来上がりましたお送りください、 と依頼しました。

[図2] ヨーロッパの鎖鍛冶の仕事場

 4枚の用紙(A4)に書かれた原稿には1698年に著されたドイツ語の本にある『鎖鍛冶』の絵がありましたので 了解を得て転載させて頂きました。なお、この絵は鍛冶屋がみんな左手にハンマーを持っていましたので、 左右反転させた絵にしました。原文には以下のように書いてあります。

鍛冶の仕事は、専門用語では鍛造と呼び、鋳造と並び金属を加工する工作法のひとつなっている。 西洋では鍛冶職は造る製品によってそれぞれ専門職であった。鍵と錠を造る錠前工、騎手の拍車(はくしゃ)を 造る拍車工、針鍛冶、鎖鍛冶などである。図2は中世の様々な職業と仕事場を紹介したWeigelの『STANDEBUCH』からのもので、 鎖鍛冶(Der Ketten Schmied)の作業の様子を今に伝えている。

Christoph Weigcl『STANDEBUCH』復刻版
Ver1ag Dr.Alfons Uhl,1987,原著は1698年刊行

愛知県立豊橋工業高等学校  石田 正治 工具E 打工具より


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