<戦争が生んだ合成ゴム>

 <ドイツ>
 第一次大戦の海上封鎖によりゴムの入手に苦慮しました。その為、石炭化学を基礎とした合成ゴムの研究が始まりました。   1,914年 メチルゴムの工業化(現在は生産されてない)
1,933年 ブナS完成・・ブタジエンとスチレンを用いナトリウムを触媒にした。
       (イーゲー社)
1,934年  ブナN成功・・ブタジエンとアクリロニトリルの共重合
   ヒットラーは軍需資材としてのゴムの重要性を理解し、ブナSの大増産計画(1,935年) を立て、2年後月産25万tに達し、『ドイツに軍事用ゴムの不足はない』と暴言しました。
<アメリカ>
 第二次世界大戦までは天然ゴムをイギリスから輸入できる立場にあり、自動車タイヤ用 などにほぼ問題なく手配できました。ドイツのブナSも輸入していました。ところが、 1,942年に日本軍がマレー・ジャワ・スマトラなど占領し、輸入ルートが断たれてしまいました。  そこで、ルーズベルト大統領は合成ゴムの製造を国家管理のもとに推進する大統領命令を 制定し莫大な研究費を使って短期間にブナ系ゴムの生産に力を注ぎました。1,945年には 85万tに達しました。1,955年に、政府管理下のゴムは民間に移され、世界に輸出 されました。1,957年ごろには、イギリス・日本・オランダ・オーストラリアなどへ 技術輸出されるようになりました。
 自動車の発明がなければこれほどまでにゴムは発達しなかったかもしれません。また、 二度の大戦がなかったら、合成ゴムの研究もなされなかったでしょう。ゴムは、意外にも 産業の重要な位置を占めていたわけですね。

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