"RELIX" vol.23, No.4, 1996 ----Too New To Be Known ----


Something a little out of the ordinary Grateful Bed by Japanese musician Kohei Hasegawa and his band. These guys are Japanese Deadheads, and this seven-cut album is dedicated to "Grateful Dead, Deadheads and bedheads!" Aside from a good bluegrass cover of the traditional "Sally Goodin" the album contains all original psychedelic-tinged material that is sung in Japanese. Musically, the improvisations are quite stimulating, especially in the jazzy 12-minute "Wen,Wen,Wen" and the spacey "Teresa," which actually features some Garcia-like guitar work.
Although I hadn't a clue as to what the guy was singing about, I found the vocals to be inferior to the music and an annoying distraction. Nonetheless, this is quite interesting stuff.


アメリカのデッド関連の音楽雑誌 "RELIX" vol.23, No.4, 1996年・夏(上写真)の
Too New To Be Known という新人紹介コーナーの記事(上記)の訳文

何かがちょっと並み外れているのは、日本のミュージシャン、長谷川光平と彼のバンドによる、グレイトフル・ベッドだ。そして七曲入りのアルバムはグレイトフル・デッドとデッドヘッズとベッドヘッズに捧げられている。トラディショナルの『サリー・グッディン』の良いブルーグラス・カヴァーを除いてアルバムは、日本語で歌われたサイケデリック風の題材で全てオリジナルが入っている。音楽的には特に『Wen,Wen,Wen』などインプロヴィゼーションが全く刺激的だ。そしてスペーシーな『Teresa』は本当にガルシアに似たギターワークが特長だ。 私はこの人が何を歌っているか手掛かりがないが、ヴォーカルは音楽より劣っていて、イライラするほど邪魔にも思えた。それにも関わらず、これはまったく面白い作品だ。


"RELIX" Vol.24 No.1, 1997 ----Too New To Be Known ----

Several issues ago, we wrote about a Japanese Deadhead, Kohei Hasegawa who released an album entitled Grateful Bed. He is also the manager of a rock club (MUSHROOM) in Himeji. Anyone interested in Hasegawa's unusual exploration of the Dead style of music you can get the disc by sending $15 (check or money order) to Kohei Hasegawa 3-137 Nakakawara, Joto Cho, Himeji 670-0847 JAPAN.
---"RELIX" Vol.24 No.1. 1997---- 


上記は1997年1月に同誌で二度目に紹介された記事。
ここでも「異常なデッド・スタイルの音楽の探検」と書かれている。


Ongaku Otaku is a magazine devoted exclusively to coverage of Japanese
independent bands and culture. Edited by Mason Jones. Published by Automatism Press, P.O. Box 170277, San Francisco, CA 94117-0277, U.S.A

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Kohei Hasegawa
"Grateful Bed"
CD, Grateful Bed, GBCD9501


The title makes it obvious enough where the inspiration for this album came from; plus there's the notation on the back: "This album is dedicated to Grateful Dead and Dead heads and bed heads?" The first song, the ten-minute "Teresa," is clearly Dead-influenced, and is actually really nice and psychedelic during the majority of the song. Long instrumental passages let the catchy guitar lines interlock. But the vocal harmonies, although very Dead-like, aren't quite accurate enough to work well for me. "Saiminjutsu-shi" reminded me strongly of the old Jefferson Airplane, with a very country feel and intricate, interesting guitar playing. "After the Quake" is a short atmospheric piece with keybords and banjo. "Oil Fence" is a straight up fuzzed out blues-psych jam complate with harmonica and all. "Wen,Wen,Wen" is a long, laid-back tune with a strong, cool bass line, piano, and saxophone. It has a jazz-band feel but grooves really smoothly too, thanks to that bass part. "Sally Goodin" is a bluegrass-type banjo pickin' tune that didn't do much for me, and the CD ends with "Taiki-Ken - Atmosphere -"; another Dead-infused rock song. If you're into the Dead and this style, all of the playing here is very good. It's definitely not my thing personally, but in a lot of ways I liked this more than I ever liked the Dead, so.....
(Mason Jones - Ongaku Otaku  '98)


この『音楽おたく』は、サンフランシスコに住むメイソン・ジョーンズが編集発行している不定期雑誌。この雑誌は、彼が独自に集めた日本のインディーズ・バンドや文化情報のみを紹介するといった内容。日本の大手出版社から発行されているインディーズ関係の雑誌とは違った、『自主管理の視線』で貫かれている。


アックス/マンガの鬼 AX vol.4

(青林工藝舎)1998年8月日発行

湯浅学/昼も夜も眠れない盤で生きる

《第4回》 KOHEI HASEGAWA 「GRATEFUL BED」

 ある日ふと家に届くCDというのは少なくないけれど、そこから友人関係が始まることは多くない。送っていただいたことをとても感謝するし、ありがたいことだと思うが、聴いてそのままになってしまうことばかりで申しわけないと実はずっと気にしているのだった。気にしているけれど、実は俺はとても筆無精なのでお返事がままならない。お送りいただいて御礼だけすればそれでいいのかもしれないけれども、それじゃかえって悪いことしているみたいに思えてしまうわけです。
 長谷川光平さんとはかれこれ3年ほどのおつきあいだが、いつも楽しいお話しやら、ニガニガしい思いについてやら、考えさせられることやらほのぼのすることやらを主に電話でしている。長谷川さんは姫路でマッシュルームというライヴ・ハウスをやっておられる。ここが実にイイ所なのだ。先日行って、ライヴをやらせていただいたのだが、やりやすく居心地もよい。怖やプレイメイツはここを拠点に活動しているが、東京や大阪の“シーン”とやらへの目くばせなどちっともない素晴しいバンドだ。それにこのマッシュルームでは元だててんりゅう元頭脳警察元裸のラリーズのヒロシさんがスタッフとして活動している。ヒロシさんのポート・カスというバンドはなにしろ姫路港野郎の集りだからとの理由で命名されたのだ。ヒロシさんは他にニプリッツというおそるべき天然サイケデリック・バンドもやっておられる。
 姫路の皆さんとの関係、そのきっかけが、95年の長谷川さんのアルバム『グレイトフル・ベッド』だった。長谷川さんからある日送られて来た。俺は見るなりめちゃくちゃうれしくなった。それとともにこの人がどういうデッド・ファンなのか、とても興味が湧いた。グレイトフル・デッドに心酔しているいわゆるデッドヘッズで、特に日本に生息している人々は、どうもにが手だ。ベタベタでギスギスしている。しかし『グレイトフル・ベッド』はやたらにおおらかだ。デッドのだらしない美しさを自分の中に大きく吸い込んだから生まれた音楽だからだ。グレイトフル・デッドのような音楽をやりたい、と思い込むことで近づいた気になった者にはできない音楽だ。情報として分析すれば、初期のデッドのようだったり、ガルシア風のギター・プレイがたんまり楽しめたりするのは当然のこと、ロックンロール、カントリー、ブルーグラス、ジャズ(モダンなところとフージョンまで)が混在し、それがさも「当然」なものとして、あるのだ。それこそが“デッド流”ってもんだろ、と語りかけてくるのだから、楽しいに決まっている。
 しかもこの生のままな歌がくすぐったいほど、紡ぎ出されるギターの音に溶け合っているのだ。蚊の飛翔音や木の葉のざわめきや湯上がりのえだまめのような風情をかもし出してさえいるその歌と言葉は、はるか昔の日本のロックの先達たちと同じ息吹を放っている。それを同時代に感じ取って来た人だということはすぐにわかった。追体験で吸収した人たちのような器用な言いまわしや舌足らずなことに無頓着なところがないからだ。平易な言葉をすんなりと歌い聴かせる。グレイトフル・デッドが生き続けて来たことの秘密を『グレイトフル・ベッド』はさらりと伝えている。自分と他人との“違い”にばかり気をとられるなってことだし、たかが音楽で選民意識を持ったってしょうがねえだろってことでもある。音楽を聴いたり演ったりする快感を天に感謝すればよい。それを確信させるアルバムである。