はじめに
これらは全て僕の個人訳です。グレイトフル・デッドの音楽をより深く理解したいがために取った、個人的なメモ・ノートと思ってください。
デッドのご機嫌なサウンドはともかく、歌の内容が言語の違う日本では分かりにくい。増して彼らの歌には聖書や神話の引用が多くて難解です。それらはアメリカ人にさえ、クールな思索を投げかける詩です。そのことを故ジェリー・ガルシアがこう説明しています。
JG「ベーシックなことさ。生きていく中で人はみんな祝福ってものを必要としている。多分それは人間であるってことの何らかの証しなんだろう。人は音楽を必要としている。どうしてなのかと聞かれてもわからないけど、我々は何故、祭礼、儀式といったものを必要とするのかとジョセフ・キャンベルが探究するのと同じような位相で、僕ら人間は暮らしの中でずっと昔から魔法とか神話とか宗教、至福や祝祭の時を必要としてきたわけさ。音楽はそもそもそういった多くの要素を含みこんだ素晴しい表現手段じゃないか。僕らが飽きもせず、ステージの上に、ファンたちの前に戻ってくるのはそのためさ。僕らのシーンにはどこか宗教的なものがある、そういう言い方で僕たちのしていることを敬遠する連中もいるけれど、宗教とか何かを信じることというのは、食べることと同じくらい人間にとってはベーシックな行為だってことをみんなが忘れてしまっているからじゃないかな。基本的な人間体験としての音楽、そういう考え方が悲しいぐらい希薄になってきているんだよ。」(インタビュー文/室矢憲治氏)
なお、アメリカでは大学の講義にも彼らの歌詞が取り上げ始められています。The Annotated Grateful Dead Lyrics というサイトは、ロバートG.ウェイナーの本の共著者である、David Dood氏が運営しています。彼らはともにアメリカの大学で時々、セミナーの講師をしています。英語の歌詞、解釈等はそのサイトを参考にしました。(光平)
曲一覧
曲名をクリックすると詩の冒頭に移動します。
●THE WHEEL ●BOX OF RAIN ●It Must Have Been the Roses
アルバム、Blues For Allah の中から
●HELP ON THE WAY ●SLIPKNOT ●FRANKLIN'S TOWER
●KING SOLOMON'S MARBLES ●STRONGER THAN DIRT OR MILKIN' THE TURKEY
●The Music Never Stopped ●Blues For Allah (Update 2001.9.15)
The Wheel
車輪
車輪が回っている
君は減速できない
君は解放されない
君は続けることも出来ず
引き返すことも出来ない
そして立つことさえ出来ない
もし雷が君を認めなければ
そのとき稲妻が・・・
君はほんの少しもほねをおって努力しないだろう?
君は少しも前以上に努力出来なかったんじゃないか?
君はほんの少しもほねをおって努力しないだろう?
君は少しも前以上に努力出来なかったんじゃないか?
回る 回る ロビンが走り回る
もどされる 本来、君がいるべきところに
ほんのちょっとだけ熱心に ちょっとだけ前以上に
君より少し遠く 君が以前に行ったよりも
車輪が回っている
君は減速できない
君は解放されない
君は続けることも出来ず
引き返すことも出来ない
そして立つことさえ出来ない
もし雷が君を認めなければ
そのとき稲妻が・・・
小さい車輪は回る 燃焼とロッドによって
大きな車輪は回る 神の聖霊によって(*注)
いつだって車輪はあたりを回る
ほんの少し先の地を行くための跳躍
車輪が回っている
君は減速できない
君は解放されない
君は続けることも出来ず
引き返すことも出来ない
そして立つことさえ出来ない
もし雷が君を認めなければ
そのとき稲妻が・・・
(注)ここは旧約聖書のエゼキエル書を参照。『わたしが生き物を見ていると、四つの顔を持つ生き物の傍らの地に一つの車輪が見えた。それらの車輪の有様と構造は、緑柱石のように輝いていて、四つとも同じような姿をしていた。その有様と構造は車輪の中にもう一つの車輪があるかのようであった。それらが移動するとき、四つ方向のどちらにも進むことができ、移動するとき向きを変えることはなかった。車輪の外枠には、四つとも周囲一面に目がつけられていた。生き物が移動するとき、傍らの車輪も進み、生き物が地上から引き上げられるとき、車輪も引き上げられた。それらは霊が行かせる方向に、霊が行かせる所にはどこでも進み、車輪もまた、共に引き上げられた。生き物の霊が、車輪の中にあったからである。』(エゼキエル書1章15-20)
Box Of Rain
雨漏りの箱
これは臨終前の父と、それに付き添う若者のことを歌った曲。
「あなた」と「お前」の二人称の使い分けは、僕の個人的な解釈です。
どんな窓からでも外を見てごらん
どんな朝もどんな午後にもどんな一日にも
たぶん太陽が輝いている
鳥たちは はばたいている
重たい空から雨が落ちてはいない
あなたは私に何をしてほしい?
あなたは私に始終 見ていてほしいの?
これは全て夢だということのために
私たちは一日の午後を長い間 夢想した
どんな道への扉でも歩きだせ
お前の道を感じろ お前の道を感じろ
一昨日のように
たぶん お前はいくつかの角を回って
方向を見つけるだろう
そこがお前に会うのを待っていた所だ
あなたは私に何をしてほしい?
あなたを見ていることなの?
あなたが眠っている間中?
その時 どうか驚かないでほしい
私もまたぐっすり夢見ているのを
あなたが見つけた時にはね
どんな瞳の中をも見つめなさい
お前はお前自身を見つける
お前は違う一日を鮮明に見ることが出来る
たぶん以前に見ていただろう
他の瞳を通して 他の日々に
家に帰る間中ずっと
あなたは私に何をしてほしいの?
あなたは私に始終 見ていてほしいのか?
これは全て夢だということのために
私たちは一日の午後を長い間 夢想した
こなごなになった太陽の光の中を歩くがいい
お前の道は少しずつ死を通る
別の国への夢夢
たぶん お前は疲れたんだ そして壊れてしまった
お前の舌はねじ曲げられてしまう
半分しか語られなかった言葉と一緒に
そして不透明な考えとともに
お前は私に何をしてほしい?
お前は私に始終 見ていてほしいのか?
雨漏りの箱が苦しみを消すだろう
そして愛が お前を始めから終わりまで見ているだろう
ただ 雨漏りの箱
風と雨
信じなさい もしお前がそれを必要なら
もし お前がそれを追いやらないなら
太陽と夕立ち 風と雨
窓の内側と外側では
まるで燃える前の蛾(が)のようだ
そして ただ 雨漏りの箱
私は誰がそれをそこに置くのか知らない
信じなさい もしお前がそれを必要なら
または それを離れる お前に勇気があるなら
そして ただ 雨漏りの箱
または お前の髪の ひとつのリボン
そんなにも長く長い過ぎ去られた時間と
そして 在ることの 短い時よ
It Must Have Been the Roses
薔薇にちがいない
アニーは薔薇の中に頭を横たえた
彼女が持っていたリボン、リボン、リボン
彼女の長い茶色の髪の中に
僕には分からない、それは薔薇にちがいない
覚えているのは 僕が彼女とそこから離れられなかったことだけ
僕には分からない、それは薔薇にちがいない
薔薇かリボン 彼女の長い茶色の髪に
僕には分からない、たぶんそれは薔薇だった
覚えているのは 僕が彼女とそこから離れられなかったことだけ
十年間 波がゆすっていた
船たちは海から家に
よく考えること どんなにそれが吹き動かしたことか
全ての良き仲間たちを
もしも僕が他の人に伝えられたらなぁ
君自身の口が僕に語ったことを
そしたら薔薇の下に横たわってもいいだろうか
そして 僕の目はもう見るのに長くない
僕には分からない、それは薔薇にちがいない
薔薇かリボン 彼女の長い茶色の髪に
僕には分からない、たぶんそれは薔薇だった
覚えているのは 僕が彼女とそこから離れられなかったことだけ
窓の中の一枚の窓ガラス
誰ひとり不平を言っていないにもかかわらず
入ってはドアを閉める
色あせたのは深紅色 リボンからさ
彼女が身につけていた
そして不思議なことに 誰ひとりとして
回りにやって来ないんだよ 今ではもう・・・
僕には分からない、それは薔薇にちがいない
薔薇かリボン 彼女の長い茶色の髪に
僕には分からない、たぶんそれは薔薇だった
覚えているのは 僕が彼女とそこから離れられなかったことだけ
アニーは薔薇の中に頭を横たえた
彼女が持っていたリボン、リボン、リボン
彼女の長い茶色の髪の中に
僕には分からない、それは薔薇にちがいない
覚えているのは 僕が彼女とそこから離れられなかったことだけ
僕には分からない、それは薔薇にちがいない
薔薇かリボン 彼女の長い茶色の髪に
僕には分からない、たぶんそれは薔薇だった
覚えているのは 僕が彼女とそこから離れられなかったことだけ
アルバム、Blues For Allah の中から
HELP ON THE WAY
途上の助け
パラダイス(天国)は待つ
一つの波の波がしらの上
彼女の天使達は炎の中(*注)
彼女は苦しみを持たない
ひとり子のように 彼女は純心
彼女は責められるべきではない
飛ぶ用意はできている
翼は輝いて広がる
飛べ 夜から太陽の中へと
止めるな 走るのを
彼女は嘘のように飛べる
彼女はこれ以上には出来ないのだ
「代価を私に教えてください。
私は支払えます。
私を行かせてください。
私に言ってください、愛はなくならないと。」
「売りなさい、全ての物を。(*注)
愛がなければ、日増しに
狂気が王様になる。」
私は償うだろう
日毎
とにかく鍵、かんぬきと鍵
手足がきかない でも自由だ
私は盲目だった
いつも 私は『見ること』を学んでいた
(間奏)
途上の助け
私はこれだけは 知っている
私は今日 あなたを得た
飛び去らないでくれ
私が愛している何かを私が愛すために
そして私はそれを待つ あの道
私はとどまるだろう
あともう一日
私が言うように
大切な人、それはあなただ
夢に愛がなければ
けっして真実には成らないだろう
ヤ《ラファエル》牢獄の聖ペテロを救いに現われた天使(1514)ローマ ヴァティカノ宮壁画
(注)
*天使(てんし)……神から派遣される使者。天上で神に仕え、人間の目に見えないが、特定の人間に現われて、神の意志を伝え、あるいは人間を保護し、導く。「ガブリエル」「ミカエル」など名前を持つ天使もあった。新約では悪魔も堕落した天使と信じられている。旧約で「主の使い」と言われるとき、多くの場合、神と同一視されている。(新共同訳 聖書 用語解説より)
*「売りなさい、全ての物を」…この言葉は下記の聖書の箇所を思い出させる。
『イエスは言われた。「もし完全になりたいのなら、行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」青年はこの言葉を聞き、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。(マタイによる福音書19.21-22)』Jesus said to him, "If you want to be perfect, go and sell all you have and give the money to the poor,..."(Matthew19.21)
SLIPKNOT
(引けばすぐ解ける)引き結び
これはインストルメンタル曲のタイトルだが、彼ら流“歴史の紐解き”の宣言か?
FRANKLIN'S TOWER
フランクリンの塔
違う時代の忘れられた空間
君の瞳は見た 君の母の顔を通して
野性の花の種が 砂と石の上に
四方の風が 君の家路を 無事に吹きますように(*注)
流してしまえ! その滴(しずく)
流してしまえ! その滴
流してしまえ! その滴
流してしまえ! その滴
君は私に尋ねる 四方の風がどこに住み給うかと
フランクリンの塔の中 そこには鐘が掛けてある(*注)
それは鳴り 裏返せる 夜を昼に
それは鳴る 炎のように 君が道を失った時に
流してしまえ! その滴
流してしまえ! その滴
流してしまえ! その滴
流してしまえ! その滴
神はその鐘を鳴らす子を助ける
一つの上等の指輪を左に持つだろう 君は喋れない
一つの時計は夜に従い 一つの時計は昼に従う
もしお前が混同してしまったら まあ、音楽演奏を聞けよ
ある人たちは 彼らの過去を笑い飛ばしに来る
ある人たちは それをもう一日作りに来る
どちらの道に 君の楽しみは向かうのか
もし 君が氷を蒔くなら 君は収穫の風なのかい(*注)
流してしまえ! その滴
流してしまえ! その滴
流してしまえ! その滴
流してしまえ! その滴
フランクリンの塔の中 四方の風が眠る
まるで 四ひきのやせた猟犬、燈台が飼う
野性の花の種が 砂と風の中
四方の風が 君の家路に吹くことを再び祈る
流してしまえ! その滴
流してしまえ! その滴
流してしまえ! その滴
流してしまえ! その滴
(注)
*「四方の風」the four winds
●これも英語では宗教的な昔風な言い廻しらしい。
●ギリシャ神話で「四方の風」には、それぞれを司る神々がいる。ゼピュロス(西風)、ボレアス(北風)、ノタス(南風)、エウラス(東風)。
●聖書での記述は、旧約のゼカリア書 第2章10節の以下。
『天の四方の風のように かつて、わたしはお前たちを吹き散らしたと主は言われる。』
*フランクリンと鐘
このフランクリンは、ベンジャミン・フランクリン(1706-90)で、鐘は"Liberty Bell"、“自由の鐘”(米国独立宣言の時に鳴らした鐘)のことを言及しているという説がある。
ベンジャミン・フランクリンは哲学者、政治家であったが、科学者でもあった。彼は、それまでの鐘と比べて大きくなく良く鳴る“自由の鐘”の鋳造法を改良考案した。それは18世紀の技術の限界を広げたという。鋳造時に熱い鐘は大量の水蒸気で冷やされたが、その鐘に付いた「露の滴」は大きな木綿のシーツで巻かれて拭かれた。このプロセスが"rolling away the dew"(滴を流してしまうこと)だという……ちょっと深読みすぎるんじゃないか?と思う説でもある。いずれにせよ、水滴は“鐘の鳴り”に良くないということは言える。
*「もし 君が氷を蒔くなら 君は収穫の風なのかい?」
The Annotated Grateful Dead Lyricsのサイトでは下記の聖書の箇所が、この部分に注釈されている。
「彼らは風の中で蒔き 嵐の中で刈り取る
芽が伸びても、穂が出ず
麦粉をつくることが出来ない
作ったとしても、他国の人々が食い尽くす。」(ホセア書8.7)
KING SOLOMON'S MARBLES
ソロモン王の大理石
この曲はまたインスト曲である。それも1分55秒という短さ。
ソロモンが偉大なダビデ王の後を継いだのは紀元前961年。賢者としての非凡な才能と、何よりも商才にたけた彼は、巧妙な方法で外国貿易と軍事力を拡張し、イスラエルに経済的・物質的な豊かさの絶頂期をもたらした。
もう一つのソロモンの業績は、13年間も莫大な財力と、労働力(国内の外国人を奴隷にした)を費やして、紀元前958年にエルサレム神殿と自分のための宮殿を建築したことにある。しかし富と権力にとりつかれたソロモンは、他国の女と異教礼拝を思いのままにする。そして自らの驕慢(きょうまん)と運命の現世的順風によって初心を失った時、彼の命運は尽き治世は狂った。この『ソロモン王の大理石』という曲の短さは、ソロモン王の栄華の果無さ(はかなさ)をそのまま表わしている。聖書の記述は、列王記上2章〜11章と、歴代誌上29章〜歴代誌下9章。
STRONGER THAN DIRT OR MILKIN' THE TURKEY
汚物、または七面鳥のミルク煮よりも強烈な
『ソロモン王の大理石』と切れ目無しに続く、長いジャズ・ロックのインスト曲。最後の方にこの曲のテーマと思われる部分がある。「汚物、または七面鳥のミルク煮よりも強烈な」??? 臭いのことか、人間の罪のことか、それとも愛のことか。
「混同してしまったら まあ、音楽演奏を聞けよ」(笑)
The Music Never Stopped
音楽は決して止まらなかった
蚊が川の上にいる
魚が鳥のように跳ね上がってる
ずっと暑い 七週間もの間
喋るのも暑すぎる今
君は聞こえたか? 俺がさっき何を聞いたかを
言おう、それはフィドルだったかも知れない
それとも そいつは風だっただろうか
だけど今 ひとつのビートになったように思える
俺は今 俺の足に感じることが出来る
聞け、また来るぞ!
「バンドがハイウェイの彼方に居るのよ
彼らは激しく町に入ってくるわ
彼らは虹の豊かな響き
それは花火
カリオペと(*注)
道化者たち」
みんなは踊っている
おいで 子供たち おいで 子供たち
おいで 君の手を叩け
太陽が はちみつの中に沈んだ
月が ワインの中に上がった
星が めまいがするほど きらきら回った
ほんとに! バンドが僕らを忙しくさせる
我々は「時間」というものを忘れてしまった
彼らは ことばでは言い表わせないバンドさ
エホバの お気に入りの聖歌隊のようだ
人々は手に手をとり参加する
音楽がバンドを演奏する間じゅう
主よ、彼らは我々を火にさせる
狂った おんどりが鳴く真夜中
電光のボールが転がりまわる
年老いた男たちが彼らの夢を歌う
女たちは笑い 子供たちは悲鳴をあげる
そしてバンドは演奏し続ける
「夜明けまで踊り続けましょうよ
朝の空気にあいさつするのよ 歌と一緒に
しかし 誰一人 通知されず
バンドのみんなは荷造りして行ってしまったわ
そもそも ここに少しも居なかったの?」
でも彼らは踊り続けている
来れ 子供たちよ 来れ 子供たちよ
来れ 汝の手を叩け
さて、涼しいそよ風が火曜日に来た
そして トウモロコシの大量の収穫
畑が一面 踊っている
いっぱい歌っているし いちゃついている
なぜなら 音楽は決して止まらなかったからだ
(*注)カリオペ…ギリシャ神話のミューズ(詩神、詩人の霊感の源泉)の一人で、雄弁と叙事詩をつかさどる。
『ムーサイ(ミューズ)というのはゼウスとムネモシュネ〈記憶〉の娘たちで九人(三人、七人などの説もある)あり、ローマ時代になると、その九人がそれぞれ学芸の各分野を分担して受け持つと考えられた。カリオペは叙事詩、クリオは歴史、ターリヤは喜劇、メルポーネは悲劇、ウラニアは天文など。「山室静著/ギリシャ神話」より』
Blues For Allah
アラーのためのブルース
アラビアの風
針の目は細い(*注)
米国の船が蜃気楼を航海するが
砂の中で溺死する
人間のものではない土地
そこはアラーが支配する所
何を蒔けば良いのか
血? そうじゃないだろう
育つことだ
『一口の永遠』
武力はアラーのためのブルースを歌う
イン・シ・アラー
彼らは落ちていくところで嘘をつく
もう話すことは何もない
砂漠の星が輝く今夜
さあ、友達のように会おう
イスラムの花と
アブラハムの果実に(*注)
千夜の物語は一夜のために
もう一度、回って来た
アラビアン・ナイトだ
われわれの神々は彼らの戦いを追跡する
致命的なのは
光の種から出た暗闇の春の花だ
パラダイスの鳥 飛ぶ
白い空
アラーのためのブルース
イン・シ・アラー
われわれの心とともに見よう
これらのことは われわれの目が見て来た
そして知っている
真実は 中間にはさまれたどこかで
まだ横たわっているだろうことを
永遠の下
永遠の下
永遠の下
青
パラダイスの鳥
飛ぶ
白い空
永遠の下
ブルース
アラーのために
イン・シ・アラー
●作詞者ロバート・ハンターはこの歌詞について
「この歌詞は、サウジアラビアのファイサル王のためのレクイエム(鎮魂曲)だ。彼は進歩的で民主的に支配者を傾けた(そして、ついでながら、グレイトフル・デッドのファンだった。)1975年の彼の暗殺は、自分にとっても、われわれにショックを与えた。」と語っている。
(注)『針の目は細い』
ここは新約聖書の福音書に記述されているイエスの言葉の引用。“イエスは弟子たちに言われた。「はっきり言っておく。金持ちが天の国に入るのは難しい。重ねて言うが、金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」”(マタイによる福音書19章24節)。英語では下記。
"And I say unto you, It is easier for a camel to go through the eye of a needle, than for a rich man to enter into the kingdom of God." (--Matthew 19, v. 24)
同内容の他の記述は、マルコ15:25、ルカ18:25
(注)『さあ、友達のように会おう イスラムの花と アブラハムの果実に』
ここは、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教が同じ根(旧約聖書)を持っていることを示唆させる。
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