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日本が誇る木綿の手織り緞通

赤穂緞通を伝承する会

赤穂緞通が、佐賀の鍋島緞通、大阪の堺緞通と並ぶ、日本三大緞通ということを知っていますか。直線と曲線を巧みに織り交ぜた独特な文様や美しい色合いと絹のような手触りが特徴です。そんな赤穂緞通の技術を学び伝える「赤穂緞通を伝承する会」加里屋工房をたずねました。


工房は、花岳寺商店街の一本南の通りの少し奥まったところにあります。
休日だというのに、工房には代表の井関京子さんをはじめ3人のメンバーが織り機に向かって熱心に作業をしています。井関さんは「腰折れバサミで念入りな摘みの作業をすることで、出来上がった作品の表情がより繊細になります。
これが柄の美しさを引き立たせるんです。伝統工芸品は分業が多いなか、うちは最初から最後まで基本1人でします」と赤穂緞通の魅力を話してくれました。

赤穂緞通の歴史は江戸時代末期に遡ります。
赤穂に生まれ育った児島なかさんが考案したそう。大正、昭和初期が一番盛んで、御崎地域に緞通場が集中し緞通組合を作っていた時期もあったとか。昭和に入り、機械化になじまない赤穂緞通は徐々に衰退していきました。

【赤穂の1人の女性が生み出した赤穂緞通】
赤穂緞通は、赤穂郡中村(現在の赤穂市中広)に生まれた「児島なか」という女性によって、江戸末期に考案されました。


平成3年、赤穂緞通の技術を市の無形文化財として残そうと、市教育委員会の主催で技術講習会を開き、一期生が5年間、二期生が3年間、技術を学んだそう。
その受講生24人で、平成11年春にこの会が発足したとか。
糸を通したりして織れる状態を作る「機ごしらえ」に始まり、図案を見ながら柄を作る「はせ」、はさみで摘む、仕上げとういう過程で、はせと摘みの繰り返しの、根気が要る作業だそうです。
「素材は、縦糸も横糸も全て木綿です。のりも「もち米」と「うるち米」の粉を混ぜて手作りします。天然素材を使ってますから、肌触りがいいんです」と井関さん。
こだわりの素材と伝統の技がクロスしてるんですね~


平成21年には「The28thJAPANTEX2009」という国際見本市に招待され、織り機を持ち込んで実演したところ、大変反響があったとか。
「絨毯やさんも知らなかったんですよ。いろんなところで見ていただくと『いいものだね』とわかっていただけます」。
当初からのメンバーの一人、山下真理子さんは「自分が携わった技術を後々まで残したいですね。少しでも役に立てれば・・・という思いで続けてきました」と、山家八重子さんは「ひとりでに工房に足が向くんです。辛抱と根性が要ります」と20年を振り返ります。
井関さんは「私たちは赤穂緞通という日本の緞通をつないでいく一コマに過ぎない。赤穂市や国の財産に関わらせていただく喜びがあります」と醍醐味を語ってくれました。


小型織り機を使って、郷土の宝ともいえる赤穂緞通を体験してみませんか。
工房では1日体験教室(要予約・有料)を随時行っています。
見学は自由です。

赤穂緞通を伝承する会 加里屋工房
ところ:赤穂市加里屋 (花岳寺門前広場東側)
TEL:0791-45-0606
見学時間:10:00-12:30、14:00-16:00
定休日:第2、第4 日曜
赤穂緞通を伝承する会 中広工房
ところ:赤穂市中広 (赤穂市民病院南側)
TEL:0791-43-9134
見学時間:10:00-12:00、13:00-16:00
※見学は要予約