ロマンとミステリー漂うまち「坂越」
坂越のまち並みを創る会
坂越のまちは、7世紀半ば、秦河勝(はたのかわかつ)が漂着し、坂越浦に浮かぶ生島に埋葬されたという伝説が残るほど歴史が古く、17世紀後半からは廻船業の発達により栄えた港町です。その面影を偲ばせる風情ある古い街並みが今も残っています。
【坂越湾に浮かぶ生島(いきしま)】
坂越の景勝を代表する島です。
古来より樹木の伐採を禁じられ、原始の状態を保っています。現在では国の天然記念物となっています。
「坂越のまち並みを創る会」会長の牟禮宗弘さんに秦河勝ゆかりの地を案内してもらいました。
まずは、国道250号沿いの高瀬舟船着場跡へ。高瀬舟は1616年から明治初期までの約260年間、現在の佐用町から200隻の運行があったそう。舟は8×1.7mで中型バス並みの大きさで、この次の停留所は赤穂城です。
国道を横切り石畳の道へ。木戸門跡へ向かいます。
木戸門跡には、当時の礎石2個が残っています。昔はここに門番がいて、朝に開き晩に戸締りをしていたそうです。牟禮さんが「坂越という地名は、この木戸門から坂を越えて坂越浦に通じるという地理的由来と秦河勝が蘇我入鹿の難を避けて来たという歴史的由来があるんやで」と説明してくれました。なるほど~~
「坂越まち並み館」は、大正末期に奥藤銀行坂越支店をはじめとし、いろんな銀行に使用されました。当時の名残で金庫が残っているんですよ。銀行の看板や当時の通帳やゴム印も展示しています。坂越の見どころのパネルが飾られ、街の魅力をまとめたDVDもあります。ここで予習をしてから街めぐりをするのもいいな~。
坂越まち並み館から、奥藤酒造へ向かうこの道、風情があるわ。「写真とるならココやで」と牟禮さんもオススメです。
【坂越のまち並み】
古くから廻船業で栄えた坂越のまちは、
いまでもその面影を偲ぶことができます。
奥藤家は、西国大名の本陣に当てられたほど格式の高い家。奥藤酒造は慶長6年創業で、兵庫県で2番目に古い会社とも書かれていたそう。「清酒忠臣蔵」や「清酒乙女」はとっても美味でぜひ飲んでいただきたい逸品です。一角に郷土資料館があって、酒造りの道具や船の復元模型があります。マニアが泣いて喜びそうなお宝もいっぱいです。
赤穂藩の茶屋的役割を担っていた「旧坂越浦会所」には、藩主専用の部屋「観海楼」があります。
ここから一番海がきれいに見えたそうです。1階に8間、2階に10間という広さ。1階の坪庭の前に座るとなんだかほっとする。
坂越湾からはひょうたん型の生島がすぐそこに見え、島右側のこんもりとした森に秦河勝墓所があり、左端には御旅所、その右横には祭礼和船の船倉があります。
次に秦河勝を祭神とする大避神社へ。
ここでは、表に右大臣・左大臣、裏に仁王、2対の像があるという珍しい随神門に注目!そしておもしろいのは「12」のミステリー。まず拝殿へ向う階段は12段。境内の井戸は12本の石柱で作られています。この神社への初穂料はその昔12銅で、今も12の倍数が収められているとか。また神社を守る社家も12家、祭りの日程も旧暦の9月12日、その祭りの祭礼船も12隻。ぜひ見てほしい拝殿の天井絵も、12×8枚あります。坂越を愛する哲学者、梅原猛さんの石碑を囲む石も12個。へ~~~、すごくおもしろーい! 「これは、河勝が12人の供人を伴っていたことからと伝えられています」と牟禮さん。
大避神社の境内稲荷神社前には、「ヒョンノキ」学名「イスノキ」という実のような不思議な、虫で変形した葉を持つ木があります。石碑に書かれた句は「ひょんの実に似たるうつぼで流れ着き」とありました。これは秦河勝が「うつぼ船」に乗って生島に流れ着いたと伝えられることから、梅原先生が詠まれた句です。
大避神社の裏山にある妙見寺観音堂へ。この寺は8世紀中旬に行基菩薩が開山したと伝えられています。明治の初めまでは大避神社と一体だったそう。つまりこの山全体が秦河勝ゆかりの場所。観音堂の蛙股には、方角を合わせた十二支の彫刻があります。4枚の三角形を合わせたお堂の屋根は、ピラミッドと同方向の造り。パワースポットとして気を感じる人も多いとか。ここから生島を見るだけでもすがすがしい気分になるよ~~
【妙見寺】
大避神社からそれる道を登ったところにあります。
途中、車同士のすれ違いが困難な場所があります。
10月第2日曜にある、瀬戸内三大船祭の一つ「坂越の船まつり」、それからはじまるカキのシーズン、もちろんそれ以外の時期でも、坂越は見どころいっぱいです!
【坂越の船祭り】
瀬戸内海三大船祭りの一つに数えられてる坂越の船まつりは、国の無形民俗文化財に指定されています。
(宵宮)10月第2土曜
(本宮)10月第2日曜
- 坂越のまち並みを創る会
- ところ:赤穂市坂越1446-2(坂越まち並み館内)
- TEL:0791-48-7770
- http://ako-sakoshi.org/