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栄養豊富な坂越湾ですくすくと育つ

赤穂市漁業協同組合 代表理事組合長 大河 優さん

坂越カキが一番おいしいといわれる2月上旬に、漁協組合長、大河優さんを訪ねました。
今や「坂越カキ」は、京阪神の飲食店でもブランド品としてわざわざ銘打って提供しているところも多いですよね。
2月6日の「かきまつり」には約21000人が、おいしいカキを求めて赤穂海浜公園にやってきました。何で坂越のカキがこんなにおいしいんや~~人気なんや~~?!そのおいしさの秘密やこだわりを大河さんにお聞きしました。


一番の要因は、坂越湾にはカキのエサである植物プランクトンが豊富にあること。
北側の山や天然記念物の生島の木は、魚が集まる「魚つき保安林」として保護されています。
山の腐葉土が雨で海に流れ栄養となり、植物プランクトンが成長するそう。 また、千種川、揖保川の大きな川に挟まれて、栄養豊富な植物プランクトンが多いことも一つの要因です。
それから坂越港が昔から天然の良港であること。
湾になっているので波が穏やかで台風もしのげる。また近くに大きな工場がないこと。 これらすべてがおいしいカキを育てる条件のようです。なるほど~。坂越の海だけではなく山の栄養もカキを育てていたんですね。


【天然の良港-坂越湾-】
山の腐葉土が雨で海に流れ栄養となり、植物プランクトンが成長するこの「天然の良港」でプリプリのカキが育ちます。


坂越カキの特徴は、「熱を加えても縮みにくい。甘みがある。1年ガキである」など。広島や宮城のカキは出荷まで2~3年かかるそう。でもここのカキは栄養が豊富なので半年で出荷できるんです。これってすごくない??すくすく大きくなるのね。

【大粒の坂越のカキ】
一年カキでもこの大きさ!


坂越カキのタネつけは5月から始まります。 30~50のタネを付けたホタテ貝の盤を6mのロープに24~25枚付けます。9.5×2.5mの大きさのいかだには900~1000本のロープが付いています。え~~?!そんなにも?!一台で何個のタネがついてるんじゃ~。計算ができない~。 全部で143台のいかだを、8月末頃まで台風をしのげる湾内に置きます。台風シーズンが終わった8月末~9月半ばに、いかだを一斉に沖に出します。 「カキには9月の雨が一番えんや。カキにいい栄養分が海に流れてくるから」。いかだの場所は、各業者不公平がないように毎年変わります。 殻付きのカキは、一度掃除してエサが付きやすい場所にさらに2週間つけるので、おいしさが増すそうです。

【カキいかだ】
カキのシーズンになると坂越湾一面にこの「カキいかだ」が浮かびます。
冬の坂越を代表する風景です。


坂越には15の業者があり、長屋方式で加工施設が並んでいます。各施設内には、無菌の海水でカキを洗浄するシステムがあるそうです。「生食用のカキは特に基準が厳しいから衛生面には気を遣っています」。
長細い作業場では、女性スタッフがすごい早業でカキをむいています。
早い人で、10秒以内で1個むき、1日7時間で40kgむくそうです。想像できん~~!

【カキ加工施設】
各水産会社の加工施設が並びます。
漁協ではシーズン中、直売なども行われ、大変多くの買い物客で賑わいます。


15業者のうち6~7軒で「カキの佃煮」を作って販売しています。 お店によって少しずつ味が違うそうですが、おいしいカキを使って作っているんだからおいしくないわけがないです。


「スーパーとここのカキは全然味が違う」「こんなおいしいカキ食べたの初めて!」「ここのカキなら食べられる」。
大河組合長の耳にこんな声が届くそうです。
「タネ場から沖に出したとき、沖から丘に出したとき、きちんと海底の掃除をします。 魚場を大事にして、またおいしいカキを作りたいです」。坂越のカキ業者さんたちは、こんな声に励まされ、毎年おいしいカキを作ってくれていることがわかりました。その日食べたカキのフライの味は格別でした。

坂越のカキ(カキ直売所)
むき身 2,500円/1kg
殻付き  850円/1kg ※価格など予期せず変動する場合があります。
問い合わせ:
赤穂市漁業協同組合 TEL:0791-48-8611